すこの文章はKindleで出版した、
「与論島・小さな島のピアノ協奏曲」という本を連載形式で全文公開するものです。
『与論島の子どもたちに、最高の音楽体験を届けたい!』
この物語は、南の島・与論島で焼肉屋を営むナビが、即興演奏ピアニスト「日吉真澄」さんを島に招き、学校訪問演奏、そしてピアノコンサート開催を目指した、実際にあった約100日間の物語。
本文最後に、Kindle本のリンクがあります。一気に読みたい方はそちらから読んでいただけると嬉しいです🙇
当日はYouTube無料生配信も行います。ぜひ、当日は与論島へ、もしくはオンラインでYouTube、stand.fmから応援に駆けつけていただけると嬉しいです‼️
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♩フレーズⅡ 〜想いの共鳴〜
一瞬わけがわからなかった。
知人に送ったLINEは、まだ未読のまま。
それなのに、電話からは「教育委員会の○○です」と聞こえてくる。
もちろん教育委員会が予知能力を発揮した……というわけもなく。
それは、教育委員会の忘年会を僕の焼肉店でやりたいという、予約の電話だった。
偶然にしても、このタイミングで教育委員会から電話がかかってくるなんて、これはもう奇跡の始まりなんだとしか思えない。
予約人数から、忘年会には、教育委員会の職員さんがほぼフルメンバーで来るのだろう。
店には、たまたま直近にリリースされた、ひよさんのCDもある!
ピアニストの魅力を伝えるためには、その演奏を聞いてもらう必要がある。
でも、教育委員会にこちらから出向いたとしても、実際にひよさんのピアノを全員に聞いてもらうなんて、ほぼ不可能だ。
でも、僕の店ならそれが出来る! 何というチャンス!
忘年会の日まで5日間。
僕は大至急、ひよさんに連絡をとり、ひよさんのプロフィールがまとまっているものがないか相談した。
飲み会の席での説明になる。出来ればその場で見られる紙の方がいい。
ひよさんは、ライブ会場で配っているパンフレットの画像データを送ってくれた。それを店でプリントアウトしてのり付けして、即席のパンフレットを十部ほど作った。
更に、ネット検索をし、ひよさんが過去に学校訪問演奏をした画像を探し、「即興演奏」の魅力を重点的にまとめた一枚の資料を作成。
僕が思い付いた日に思い描いた、与論の子供たちが楽しそうに即興演奏のお題を出しているイメージも、文章でまとめて追加した。
気がついたら、ただの妄想から始まったことが、絶対にこれを実現するんだという強い想いに変わっていた。
当日。
焼肉の香ばしい匂いの中、教育委員会の職員の皆さんが和気あいあいとテーブルを囲んでいる。
オーダーをさばきながら、実は緊張していた。だいたいの職員さんは顔見知りだが、教育長との面識は、まだない。
お酒もある程度入って、食事も一段落。そろそろ頃合いだ。心の中では、なんだか武者震いするような感覚になっていた。
いざ、出陣の時!
合戦の合図のホラ貝をならすような気持ちで、ひよさんのCDのボリュームをグッと上げる。
ひよさんの即興演奏の中から、選りすぐりを集めたCD『瞬音』だ。
僕はいきなり本丸に攻め込むことにした。
「教育長! 今、流れてるピアノのCD、僕の友達のピアニストなんですけど、今度、与論島に呼びたいと思っているんです」
教育長の中山さんは、とても理解のある方だった。
飲み会の席での突然の提案でも、最初からしっかり聞く姿勢をもって受け入れてくれた。
ただ、ここは飲み会の席、あまり話が長くなってもいけない。
同じテーブルで聞いていた職員の皆さんにも、さっとパンフレットとプロフィール資料を配り、特に与論島の子供たちに聞いてもらいたいと思っていること、子供たちのお題からその場で音楽が作られていくその魅力を、一気に伝えた。
「例えば『与論島の星空』とか『校庭のガジュマル』とか、与論の子供たちの言葉から、その場で音楽が生まれるんです!」
教育長は真剣な顔で聞き、ほぼ即答で笑顔で答えてくれた。
「それは素晴らしい企画です。ぜひ! やりましょう!」
その一言で胸が熱くなった。
思い付いてから、たった5日後に、与論島内でこれ以上ない、最高の人が味方に付いてくれることになった。こんなにありがたいことはない。
その翌週、なんと僕は教育長の運転する車の助手席に乗って、与論島を一周していた。
そして、各学校の校長室で、教育長と焼肉屋が並んで座るという不思議な光景。
忘年会の翌日、教育委員会へ改めて連絡したとき、なんと教育長自ら、学校へのプレゼンに一緒に回ろうと提案してくれたのだ。
与論島には小学校が3つと、中学校と高校が1つずつある。
ちなみに、前もってひよさんに学校へ挨拶に行くと伝えたところ、各学校へのプレゼントとして、『瞬音』のCDを速攻で送ってくれた。その場で聞いてもらえるよう、ポータブルCDプレイヤーも持っていった。
与論島は鹿児島県なので、学校の先生たちは鹿児島県内で転勤していく。ましてや校長先生だと、より多くの学校を見てきているはずだ。
そんな校長先生たちが口を揃えて、「与論の子供たちは、本物の芸術に触れる機会が本当に少ない」と言っていた。そして、ひよさんの『即興演奏』は、教育者の目から見ても教育的に素晴らしいものなんだろうと、校長先生たちの反応からも感じた。
そして何より教育長の語り口から、教育長が僕と同じ想い、同じビジョンを共有してくれていることを感じ、本当にありがたい気持ちでいっぱいになった。
その想いは、与論島の各学校にも届いたと感じた。
各学校の反応は全て同じ。日程さえ合えばぜひ実現させたい、ということだった。
3つの小学校の中でも、茶花小学校には、特別な懐かしさがある。なんといっても僕の母校だからだ。
茶花小学校の校長先生は、本当に目を輝かせて前のめりに話を聞いてくれた。その日のうちに「ピアノを見ていかれますか?」と、教頭の宮下先生の案内で体育館を見せてくれた。
僕が茶花小学校を卒業したのは、三十五年近く前。体育館は二十年前にリニューアルされたので、僕が通っていた頃とは違うのだが、舞台の校章やかかっている額縁の校歌が、なぜだか小学校の頃を思い出させてくれる。
体育館に入って、ふと蘇ってきたのは、ダムダムとバスケットボールをドリブルする音と、僕の父のとにかく大きな怒鳴り声だ。
僕の父は、茶花小学校のバスケット少年団の監督兼コーチをしていた。
僕は中学二年から、漫画の影響もあってバスケットを始めた。すると父が「父ちゃんも中高バスケ部だったんだよ」と嬉しそうに教えてくれた。
そこから父は与論町の社会人バスケットチームに参加し始め、茶花小学校のバスケット少年団の監督を引き受けることになったのだ。
家では、わりと無口。年に一度くらい、何かあると雷が落ちたように怒鳴る、いわゆる雷親父だった。
とにかく声が大きくて、島中に轟くのではないかと思うほどだった。
そんな父とも、バスケットを始めてから少し会話が増えた気がする。
町のバスケット大会では、僕ら中高生が試合をしている横のコートで、小学生同士の試合をしていることがよくあった。
父の声はとにかく大きくて、体育館中に鳴り響く。
「今! 行けるぞ!」「リバウンド!」
隣のコートで試合している僕らの掛け合う声を、書き消すほどの大きな声で父の声が響く。
そのせいで、隣の試合なのに、ビックリしてシュートを外してしまう人もいた。
ホントにやかましいなぁと思いつつ、生き生きとしている父の姿を、ちょっと嬉しいなぁと思ったりもしていた。
茶花小学校の体育館では、そんな記憶が父の怒鳴り声と共に蘇ってきた。
そんな父の思い出もある、僕の母校の体育館に、僕がプロのピアニストを招く。ありがたいようで不思議でなんとも言えない感覚になった。
教育長との各学校へのプレゼン回りを終えた僕は、すぐにひよさんと連絡をとり、急いで日程を検討をすることにした。
ここまでは順調すぎるくらい順調。
しかし、全てがそんなに、とんとん拍子に進むわけもなかった。
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一気に読みたい方はこちらから
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【えっ⁉️これ本当に即興なの⁉️】
日吉さんの即興演奏をぜひ、聞いてみてください🙇
🎹ピアニスト日吉真澄・即興演奏『ヨロンブルー』🎹
2/21(土)の与論島ピアノコンサートまでに1万再生目指しています✨
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このコンサートは、島の方も、島外の方も、オンラインからも、
より多くの方に感動を届けたいという想いから、
『入場無料・YouTubeでの無料配信』で開催します。
そのため、運営費はチケット収入ではなく、
この企画に共感してくださる皆さんの
「応援」という形(ご支援・スポンサー)により運営されています。
ご支援は、
コンサート運営費、学校訪問演奏、会場づくり、
そして子どもたちへとつながる企画に、
大切に使わせていただきます。
今回は、「花の苗で応援するプロジェクト」も実施予定です。
コンサートをきっかけに、卒業式・入学式を花いっぱいで迎えられるよう、島の学校へ花の苗を届けたいと考えています。
なお、運営費用を超えて集まった分は、与論島内の学校や子育て支援団体など、島の子どもたちの未来のために寄付させていただきます。
詳細・応援方法は、公式ホームページに掲載しています。
もし心が動いたら、ぜひ応援という形で関わっていただき、皆さんと一緒に、このコンサートの結末を迎えられたら嬉しいです。
「日吉真澄・ピアノコンサート『瞬音』in 与論島」
主催:「すみ火焼肉サム」店主・ナビ








