留保利益(retained earnings)と利益(income)の関係とは? | 【匠】会計・英語・ITを武器に!バンコクで働くバイリンガル米国公認会計士のブログ

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こんにちは。謙信です。

前回は、出資者(equity investors)への現金支払には、配当(dividends)以外に、減資と貸付金もあるという話をさせて頂きました。

配当(dividends)の場合、留保利益(retained earnings)を減少させます。

減資の場合、払込資本(paid-in capital)を減少させます。

貸付金の場合、「loan receivable」を資産計上します。


前回までで、一連の貸借対照表(balance sheet)の変化を表す連載は終了です。取引毎に、貸借対照表がどう変化していくか、大体のイメージはつかめましたでしょうか?


今回は、前回まで説明させて頂いたB/Sの留保利益(retained earnings)が損益計算書(income statement)の利益(income)とどう関係しているかについて説明させて頂きます。


まず、貸借対照表(balance sheet)は一定時点での財政状態(financial position)を表すため、Kenshin社の貸借対照表も「as of January 13th」となっていますね。ちなみに、「as of ~」で、「いついつ時点において」という意味になります。


記事89_20120827_02配当支払時の会計処理



つまり、貸借対照表上の留保利益(retained earnings)は、ある一定時点での「利益の累積額」を表しているんですね。


一方、損益計算書(income statement)は一定時点ではなく、一定期間の経営成績である利益(income)を表します。つまり、時間の幅があるんですね。


ここが面白い点ですが、利益(income)という単語を用いるときは、期間の概念なんです。誤解を恐れずに言えば、1つ1つの取引(transaction)からは利益は生まれないんです。1つ1つの取引からは、留保利益(retained earnings)の増減が発生するだけなんですね。そして、一定期間で捉えたときの、その留保利益の純増分を、利益(income)と呼ぶんですね。

極論すると、例えば、たった今、1つの取引が発生し、その結果、留保利益(rateined earnings)が$100増えたとしましょう。そして、今日(00:00 - 24:00)という1日(期間の概念)の損益計算書を作成した場合、利益(income)が$100ということなんですね。


利益(income)とは、一定期間における留保利益(retained earnings)の純増金額である

The amount by which retained earnings increased as a result of operations during a period of time is called the income of that period.


という訳で、Kenshin社の1月4日から1月13日までの利益(income)は、留保利益(retained earnings)がゼロから$1,300に増加していることから、$1,300となります。

1月4日時点の貸借対照表

記事78_20120822会社設立時の会計処理



1月13日時点の貸借対照表

記事89_20120827_02配当支払時の会計処理



ここで、英単語について補足したいと思います。

「利益」を表す英単語には、以下の3種類があります。
・income
・earnings
・profit

ただし、上記「利益」は「収益(revenues)」とはしっかりと区別してください。会計では、「利益」と「収益」は全くの別物です。「利益」と「収益」の関係については、次回以降、説明していきますね。