フリマを出たのが11時くらいで、今度はそのままその地域では有名なパブへでかけた。日本でパブと名乗るお店は今ではなかなか目にしないけど、イギリスでファーストフード以外で飲食する所として、どこへ行っても山ほどあるのだ。
その店はEvesham郊外ののどかな農村にあって、The Thatched Tavernという。なんと700年以上前から続くパブだそうだ。僕は建物が古いだけで、パブとしての営業はもっと短いのじゃないかと友達の元旦那に訊いたけど、最初からパブたっだと言ってました。
それが事実だろうとそうでなかろうと、そんな事はどうでもいいことで、この店はロンドンや都会にあるパブと違って、とてもいい雰囲気でしかも町の人々に愛されているのだろうということがひしひしと伝わってくるいいお店で、一発で好きになってしまった。
基本的にはパブなので色々な生ビールがあり、注文するといかにもイギリスって感じのお姉さんがポンプのようなサーバーを使って注いでくれる。
世界的に有名なグローバルな銘柄もあるけど、やっぱり僕は地元でしかないものを注文。
色々飲みたいので小さいサイズにしたら銘柄違いのコップになってしまったけど、いかにもイギリスというコクのあるちょっと黒ビール風の物が多くてとてもおいしい。
日本でパブというとスナックとビアホールの間のような、どっちかというと酒場な感じだけど、ここはちゃんと食事もできる。ちょうどお昼時だったんでみんなご飯を食べてたのだけど、だいたいがこのメニューだった。
イギリスの伝統的な料理の形態がこんな感じで、これはターキーのローストにじゃがいもや人参、ビートやネギなどから作った様々な付け合せが載っている一皿で、特性のグレービーソースをたっぷりかけて食べるのです。ターキーのローストは下の方に2枚入っているのだけど、とにかく付け合せがすごい量で、イギリス人はこうして野菜を摂取していたのだと思わせるものでした。味はというと、イギリスにしては美味しい。ソースにちょっとコクが無く付け合せも素朴なものなので、刺激的な味が好きな人には物足りないかもしれないけど、少なくとも僕はちゃんと満足しました。
この店のあるHoneybourneという地域は、観光の人はまず来ないような辺鄙な農村で、映画館やボーリングなどの娯楽施設どころか、ミニマートの様なお店も全く見かけないくらいのところで、だからこの店が町の一番の社交場となっているようだった。昨日は日曜日だったので、祖父母から孫までみんな揃ってここへ来てビールやドリンクを飲みゆっくりご飯を食べている家族が多いのが印象的だった。もちろんお年頃のお姉さんや思春期の男の子も一緒に。イギリスはアメリカと違って、何でも表面的でなく深く深く、全てがちゃんと根を張っている感じでとてもいいと思う。こんな古ぼけたお店だけど、毎週家族でこうして食べにくることを全員が当然と考えていて、そして楽しみにしているのだろう。こうして何気ない日常が一番幸せなんだと気づかせてくれるお店だった。
中には犬も連れて来ている人もいて、犬も慣れてるし周りの人も当然のような感じだった。多くの日本人がアメリカナイズドされたものが好きだと思うけど、アメリカは本当に表面的で心に迫るものが少ないと思う。言ってみれば砂上の楼閣であって、浮かれているだけだということを再認識させられるお店でした。