ハノイ証券取引所を(3月初旬に)再訪問 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ハノイ証券取引所(HNX)は2005年7月にホーチミン証券取引所に次いでベトナムで2番目の取引所として設立しました。設立時は上場銘柄数6銘柄でのスタートでしたが、現在(3月15日現在)の上場銘柄数は269銘柄超で、市場時価総額は約37兆5000億ドンと順調に成長を遂げています。平均売買代金(1日当たり)は設立時の約220倍に当たる約8800億ドンとなっています。設立来の新規上場(IPO)数は171銘柄で、2006年から開始した債券オークション売買の売買総額は41兆1000億ドンに達しています。昨年は初の米ドル建てベトナム政府債(発行額は4億6000万ドル)のオークションを成功させました。

 また、HNXは「上場市場」、「未上場企業登録市場(UPCoM)」、「債券市場」の3取引所から構成されているところに特徴があります。

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 HNXのボード。見学者があとを絶たない。

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 NHXは近々に新証券取引所ビルに移動を予定している。

 最近、ハノイ証券取引所は英語での名称を「Hanoi Securities Exchange Center」から「Hanoi Stock Exchange」に改称しました。3月初旬に取引所を訪問した折に改称の理由を尋ねたところ、担当者は英語名の改称は国際標準に合わせたものとの返答でした。どうやら、海外からの見学者が訪問するたびに「どうして、Stock ExchangeではなくてSecurities Exchange Centerなのか?」という質問を受けたようです。

 今後のHNXの大きな課題は流動性の向上でしょう。例えば、一株当たり利益(EPS)からみてイエンバイ農林産食品(CAP)などファンダメンタルに魅力ある企業も多いのですが、流動性が低いためにアンダーバリューとなっています。つまり、実際に投資するとなると売却時の流動性が気になるというわけです。流動性を向上させるためには、まずは証券会社の株式トレーダーを呼び込んで値付けをすることです。そして、将来的には機関投資家などの大口投資家も実質的に売買が可能な市場になればHNXは拡大・飛躍するでしょう。また、上場基準がホーチミン証券取引所(HOSE)よりも緩いだけに、上場企業の企業情報公開への意識改革などが課題なのは言うまでもありません。