ベトナムの風力発電 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ベトナムの電力需要は年平均10%のペースで拡大しています。そうしたなか、脱石油エネルギーとして風力発電が注目を集めています。グエン・タン・ズン首相は先月、ニントゥアン省の風力発電プロジェクトをはじめ国内の風力発電の適所・潜在力についての詳細報告を今年5月末までに行うことを要請しました。この要請を受けて、ベトナム電力グループ(EVN)は風力発電技術に長けたデンマーク政府の協力も得て詳細な報告書の作成を行います。

 ベトナムの海岸線は3000キロ超と長く、その8.6%では強風が吹きます。また、ベトナムには地上65メートルで風速毎秒7メートル以上を確保できる土地が約2万8000平方キロメートル存在するともいわれています。なかでも、南中部のビントゥアン省、ニントゥアン省、ビンディン省、ラムドン省、チャーヴィン省、ソクチャン省は風力発電の潜在能力の高さが注目されています。

 特に、ビントゥアン省とニントゥアン省は強風に加えて(国家)送電線や主要幹線道路に近いこと、平坦地であること、人口密度が低いことなど風力発電に好条件を揃えています。試算では、この2省だけで風力発電潜在能力は出力数万メガワットとされます。

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 ビントゥアン省の観光地ムイネー北東40キロの国道1A号線近くにある風力発電施設。

 昨年7月には、ベトナム商工会(VCCI)はドイツ技術協力組織(GTZ)と提携、GTZは2009年~2011年にかけてネットワーク風力向けの技術協力に100万ユーロを援助することを決定しました。また、昨年9月にはドイツ系ファーランダー(Fuhrlaender)風力発電ベトナム社がビントゥアン省の風力発電タービン製造工場に投資(2500万ドル)することを決定しています。これは国内初の風力発電タービン製造工場になります。第1フェーズでは1機当たりの出力1.5メガワットのタービンを20機製造できる工場を、第2フェーズでは出力2.5メガワットのタービン48機を製造できる工場を建設計画で、最終的なタービン年産能力は89.4メガワットとなる計画です。