2010年はベトナムの銀行の増資・上場ラッシュへ | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 昨年、ベトナムは「2010年末に銀行の最低資本金を3兆ドンとする」という行政命令(Decree 141/2006/ND-CP)を発令しました。これに伴って、最低資本金を満たしていないベトナムの各銀行は今年末までに3兆ドン以上の資本金にすることが最大課題となっています。また一方では、多くの未上場大手行がホーチミン証券取引所(HOSE)への年内株式上場を目指していることにも注目です。

 1月7日、オリエント商業銀行(OCB)は公式に資本金を1兆4740万ドンから2兆ドンに増資したことを公表しました。今後、同行は2010年末までに最低資本金基準を満たすため転換社債6000億ドン(年末までに株式転換を進める)発行、増資4000億ドンなどを計画しています。

 また、ウェスタン銀行はホーチミン証券取引所(HOSE)にまずは上場を実施してから、資本金を1兆ドンから2兆ドンに増資する計画です。現在、同行はベトナム国家銀行の株式市場上場承認を取得済みでホーチミン証券取引所(HOSE)の上場審査待ちの状況にあります。上場完了後にウェスタン銀行は増資や転換社債発行によって年後半での最低資本金3兆ドン到達を目指します。

 その他、ホーチミン市ハウジングデベロップメント商業銀行(HDBank)アンビン商業銀行(ABBank)ハブバンクベトア銀行(VietABank)なども第1四半期に同様の動きをするとみられています。

 また、銀行大手のサコムバンク(STB)も資本金を現在の6兆7000億ドンから9兆8000億ドンへ増資する計画があります。更にベトコムバンク(VCB)も増資実施の意向です。

 しかし、年末期限の最低資本金3兆ドン達成は小規模な銀行にとっては容易なことではありません。しかも、ベトナム国家銀行は今年の目標融資増加率を前年実績37.73%を大きく下回る25%に設定しています。貸付業務が収益の大半を占める中小銀行にとってはきつい経営環境にあります。当然、中小銀行間や大手行が絡む合従連衡の動きも想定できます。

 一方で、OCBをはじめナビバンク(NAvibank)リエンベトバンク(LienVietBank)EAB銀行などは年内の株式上場(IPO)を準備しています。現在、ホーチミン証券取引所とハノイ証券取引所合計で上場している銀行は6行(VCB, CTG, EIB, STB, ACB, SHB)にすぎません。2010年はベトナムの銀行の上場ラッシュになると思われます。