バンコクの一等地は最近1年で地価25%上昇 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 不動産コンサルタントのエージェンシー・フォー・リアルエステート・アフェアーズ(AREA)の土地価格調査によると、世界景気の後退で世界中の不動産市場が不振の中、バンコクの一等地では地価が上昇していることが明らかになりました。

 現在、バンコクで最も地価が高い場所は、BTSサイアム駅近くの高級デパート「サイアムパラゴン」、BTSチットロム駅周辺、BTSプルンチット駅周辺の3カ所。地価は1平方メートル当たり25万バーツ(70万円、1BT=2.8円で換算)程度とのことです。

 「サイアムパラゴン」は昨年に続き高い地価のトップで、地価は昨年の一平米当たり20万バーツから25%上昇しています。東京で言えば、銀座三越前や新宿高島屋前に当たるバンコク1の商業地ということなのでしょう。

 その他、シーロム通りのバンコク銀行本店周辺、BTSラチャダムリ駅周辺、ヤワラート通り(中華街)、ウィタユ(ワイヤレス)通り、サトン通り、ナラティワート通りも地価は上昇しています。

 同社によると、30年前に最も地価が高かった場所は、ヤワラート通り(中華街)だったが、他の場所の開発が進んだため、地位が低下。ヤワラートの地位低下の原因は相対的にBTS開通でBTS周辺の地位が上昇したことにあります。

 特に、地価トップの「サイアムパラゴン」はBTSサイアム駅やチットロム駅から近く交通の便が良いこと、オフィス街にも近いことなどの要素が重なったのが原因と思われます。

 一方、上昇率1位はBTSアソーク駅前の「タイムズ・スクエア」で05年から今年にかけて地価が97%上昇しました。上昇率(05年から09年)第2位はBTSエカマイ駅周辺で89%、第3位は「サイアムパラゴン」の82%。いずれもBTS周辺です。

 今後、BTSやMRT(地下鉄)はどんどん拡張計画が進んでいます。例えば、BTSは南の終着駅オンヌット駅からの延長戦は2010年中に開通予定。こうした周辺地域の住宅地マンション価格も長い眼でみれば上昇する可能性があります。

 とはいえ、パタヤなどの郊外リゾート地の高級コンドミニアム価格はまだまだ動いていません。実際に、昨年完成のノースパタヤのコンドミニアムを見学しましたが、夜中に外から見て電気が点いている部屋は少々。駐車場の車も少々。玄関周辺のライトも必要最小限にしか点灯していないという状況でした。

 90年代の日本と同じで、都心部商業地は収益性から地価は上昇するが、周辺部や特にリゾート地まで資本が回ってくるのは今少し先という雰囲気です。但し、現在、タイ(タイだけでなく東南アジア全域)のリゾート地の価格はバリュー上極端に安くなっています。素人判断ですが、長期タームでの投資家にとっては良い投資先になるかもしれません。