ベトナムの為替リスク | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

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 べトナム株式へ投資する際の大きなリスクの1つとして、ベトナムドン(VND)相場を指摘しておきます。まずはベトナムドンの過去5年間のチャートをアップします。

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 過去5年間のベトナムドンのチャート(出所、ヤフーファイナンス、VND/USD)

 一目みて、ベトナムドン安の傾向がみてとれます。通常、投資の世界では「新興国では株式、先進国では債券を買え」と云われています。つまり、新興国の上昇相場では債券よりも株式の上昇率が高い。且つ、通貨は急落することがあるからです。要は、この通貨急落の前にキャッシュアウトできるかどうかが肝心。
 
 日本の証券会社のなかには、新興国債券ファンドを販売しているところも多いですが、これは「投資家(受益者)受け」はしても、私には「ナンセンス」に思えます。販売する側の事情があるのでしょうね。

 機軸通貨米ドルが不安定になってきているだけに通貨市場の長期的な読み方は難しいです。ただ、仮に米ドルに代わる機軸通貨があるならば、その一番手は中国元か。中国はASEAN諸国との貿易を中国元で決済することを推進しています。また、中国はラオスやカンボジア(およびミャンマー)に大量の資金を投入しています。例えば、ラオス・ビエンチャンに数万人規模のチャイナ・タウンが建設されるのだとか・・・若し、完成すれば世界有数の小さな首都ビエンチャンは完全に中華圏化するのではないでしょうか。

 将来、恐らく、中国元は過去の日本円のように次第に強い通貨へと変貌すると思います。

 一般に、通貨が安くなれば輸出企業にとっては好材料。外需で景気は好転、外貨準備額は増加、金利は上昇します。そして景気が良くなれば、消費(内需)に火がついて輸入が増加、外貨準備は減少、金利は低下。これは通貨安要因となります。これは50~60年代に日本が何度も経験してきたことです。

 ベトナムの場合、経済の潜在成長性は大です。しかし、肥大した官僚組織が経済・市場環境の変化、時代の変化にどれだけ付いていけるか・・・これはウォッチすべきであり、今後のベトナム経済、ベトナムドンに大きな影響を持ちます。