ウォーレン・バフェットの哲学 第2回 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

(続く)

☆自分の土俵で相撲を取ること(The circle of competence)
 ウォーレン・バフェット氏は「地の利」を生かして自分の土俵(The circle of competence)で相撲を取ることを実行している。つまり、自分の興味のある分野であり熟練している分野にしか投資はしない。有名なのは90年代から21世紀初頭までのドットコム株式ブームの時に、インターネット関連株に一切投資をしなかったこと(その後、ドットコム株式ブームは崩壊)。また、米国以外の株式は2度しか購入したことはない。

☆ポジティブ・シンキングについて
「君が100階建てのビルに1階から苦労して登ったとするとする。やっと目標としていた100階まで上った。その後、98階に降りると気分が悪いだろう。でもそれは3階から1階へ降りたときとなんら変わりはないんだ。君は気持ちで負けてはいけない。なぜなら君はまだ98階にいるんだからね」

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 「スペクトラム」誌より

☆投資アイデアについて
 バフェット氏はコロンビア大学時代の恩師ベンジャミン・グラハムの言葉を信奉している。それは「良い投資アイデアの方が悪い投資アイデアよりも危険が大きい。なぜなら、あまり良いアイデアだと「限界」というものがあることをついつい忘れてしまうものだからだ」というもの。

☆内なる声
 バフェット氏は人間には2種類あるという。それは「他人が自分をどう思うか気にする人たちと、自分で自分自身が良くありたいと思うひとたちの2種類」だという。バフェット氏は自分自身にこう問いかけるそうだ。「自分は世界で最も偉大だが(自己評価では)最悪の人気者になりたいのか、それとも世界で最悪ではあるが(自己評価では)最も偉大な人気者になりたいのか」

☆自己管理について
 バフェット氏は喫煙をしないし、アルコールも嗜まない。78歳の現在もすこぶる健康だ。かれは大学生向けに次の要旨で講演するようだ。「もし、君が16歳でラッキーなことに魔法の壷から魔法使いが現れてなんでも望みの車を1台プレゼントする。但し、その条件は一生にこの1台の車だけしか車を所有できないことだ。車を受け取った君は必死で取り扱い説明書を読み、ガレージを整備して、少しでも車に傷を見つけると錆付かないように修理するだろう。人間の身体というものはこの車と同じように扱わないといけないんだよ」

☆カルチャー
 バフェット氏は若い頃、有名なベストセラー本「人を動かす(How to win friends and influence people、著者D. カーネギー)」を読んで大きな影響を受けたという。この本には30のルールが掲載されている。例えば、第1のルールは「人を批判しないこと、人を非難しないこと、そして不平不満を言わないこと」だ。この本の信奉者であるバフェット氏は他人を批判することは好まない。
 また、バフェット氏は20代の頃に同書の著者であるD.カーネギー主催の「話し方教室」を受講したという。受講理由は、バフェット氏によると「自分は若い頃人前で話すことが苦痛で堪らなかったんだ。本当に人前で話すとなると急に吐き気がしはじめて実際に吐きそうになったこともあるほどなんだだ」という。この「話し方教室」の受講後は人前で話すことが苦で無くなったそうだ。
 また、バフェット氏自身はバークシャ・ハサウェイ社の経営自体を自分自身の教育ツールだと思っているとのこと。バフェット氏にとってはバークシャ・ハサウェイのアニュアル・レポートは「神からの手紙」のようなものなのだろう。

☆政治
 バフェット氏の父親は共和党議員だった。しかしながら、彼自身はオバマ大統領を生み出した民主党を支持している。

☆仕事選びについて
「自分が熱中できることをやればいい。そして自分の好きな人たちと一緒に仕事をすること。もし、毎朝、仕事に行く前にお腹が痛くなるようならその仕事はあなたに適してないということだろう」

☆投資のルール
 彼の投資ルールの第1条は「オカネを失うな」、第2条は「第1条を忘れるな」、第3条は「借金をするな」というもの。