[SET]2009年新規上場企業数予想は45社 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 昨日、SET(タイ証券取引所)は2009年のSET市場への新規上場(IPO)予定企業数を45社と発表しました。2008年のIPO企業数は8社だったため、2009年のIPO企業数は大幅に増加する予想。一方、日本の2部市場に相当するMAI市場へのIPO予想企業数は14社。昨年の3社から大幅に増加します。

 IPO予想企業数が急増する原因は、タイ政府の「株式市場活性化策」のひとつであるIPO上場企業への減税。この減税策は2009年末までで延長は実施しないとされています。具体的には、本年中にSETへIPOした企業は特別法人税25%の対象企業となります。一方、MAIへIPOした企業は特別法人税20%の対象企業となります。

 IPO企業が増えると、短期的には市場で注目を集めるものの、長期的には(新規の投資資金が市場に入り込まない限り)市場全体の発行済株式数の増加から市場にネガティブな影響を及ぼすこともあります。

 昨日、SETは同時にSECオートセールス&サービス(銘柄コードSECC)に上場廃止警告を出しました。昨12月上旬から同社株の売買はサスペンドされています。上場廃止警告の原因は資産状況の悪化や不正会計処理など。

 一方、日本では、13日、東京証券取引所や大阪証券取引所など全国6カ所の証券取引所が時価総額が一定額を下回った企業を上場廃止にするなどの基準を今月末から年内いっぱい緩和すると正式発表したそうです。これは株価の急落で基準に抵触する企業が急増していることに対応するもの。

 IPOは証券会社や取引所にとっては「楽にボロ儲け」ができるビジネスでした。それゆえに、過去に資金の出所や関連団体などを精査せずに、新規IPOをやりすぎたのでは、という印象を私は持っています。その「ツケ」をいま払いつつあるのでは。基準を下回ったら基準を変更するのではなく、市場から退場するのが通常ですよね。

 更に膨らますと、これは当初、不動産担保商品を真面目に販売していた米国の投資銀行があまりに「楽にボロ儲け」できることに心奪われ、劣化ローンを証券化して欧州や米国の企業へ販売したことを思い出させます。

 人間とは「歯止めが利かない」ものなのですね。その歯止めになるのは最新知識ではなく、結局、古い言葉でいう「道徳心」のような気がします。