「マネージャーの涙」と「全員陸上」
5月1日に行われた日体大長距離競技会の女子800m(第4組)で、女子中長距離ブロック長の廣江早紀(4年)が「関東インカレ標準記録・2分18秒00」を僅かに上回る「2分17秒72(1着)」をマークしました。
そのレース中、「トレマネ・ブロック(トレーナー・マネージャー・ブロック)」のブロック長である谷内あい(4年)は、トラックの外でラップを取りながら声援を送っていました。
廣江がフィニッシュしてから数十秒後(?)に、「速報タイマー」にその正式タイムが表示され、「関東インカレ標準記録突破」を果たしたことがわかるやいなや、谷内の眼からは涙があふれてきました。
「早紀ちゃん、やったぁ~! よかったぁ~。おめでとう!!(泣き声)」と、谷内の口から実際にそういう言葉が出たのかどうかは傍らにいながらもよくは覚えていませんが、とにかく、そういう感じでした。その後も、谷内の眼からの涙はとまりませんでした。
廣江のフィニッシュから数分後に谷内の携帯が鳴りました。
谷内「はい、谷内です」
相手「……(← 当然のことながら、相手の話している内容は聞こえませんでした)」
谷内「廣江が関カレ標準を切りました~~(涙声)」
相手「……」
谷内「本当に良かったです(涙声)」
相手「……」
谷内「はい、はい……(涙声)」
相手「……」
谷内「失礼します(涙声)」
こんなやりとりでした。
電話の相手は、大学院1年生の山口貴史(2009年日本インカレ男子1万m競歩7位入賞)でした。
「えっ? 何で女子の学部生のことを男子の大学院生が気にするの?」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。
が、女子の結果を男子が、男子の結果を女子が、あるいは短距離ブロックの結果を中長距離ブロックが、はたまた混成ブロックの結果を他のブロックの部員が常に気にしているのが東京学芸大学陸上競技部なのです。
山口からの電話だけではなく、午前中に小金井市にある東京学芸大学のグラウンドでトレーニングをしていた部員の何人かが練習終了後に大急ぎで片道1時間半あまりをかけて日体大まで応援に駆けつけました。
また、何年か前にはこんなこともありました。
その年に大学院2年生の男子選手が5月初旬の筑波大学競技会で「関東インカレ標準突破ラストチャレンジ」に挑むことになりました。
その時、学部生の一人が、
「○○さんの最後の関東インカレ標準突破の挑戦を応援に行こう!」
と呼びかけました。
自分が出場するわけでもない競技会の「一人のための応援」に十人あまりが賛同し、筑波まで応援に出かけました。
残念ながら、途中から雨の降るその競技会で、その大学院生は「関東インカレ標準突破」はなりませんでしたが……。
その時に参加した一人に、その春に他大学を卒業して東京学芸大学大学院に入学してきた人がいました。
その大学院生曰く、
「自分が出ない試合に、『(一人のために)みんなで応援に行こう』なんて、信じられませんでした。」
「自分がいた大学では、そういう時は『頑張ってきてね』という言葉はかけられても、『みんなで応援に行こう』あるいは『(自分一人のために誰かが)応援に来てくれる』なんてことはあり得ないことでした。」
「でも、あの応援ツアーに参加して、学芸大陸上部のあたたかさというか、『頑張っていれば、みんながこんなにも応援してくれるんだ』ということを知って、この陸上部がとても好きになりました。」
とのことでした。
以上のような話を書くと、“自画自賛”と思われるかもしれません。
が、東京学芸大学陸上競技部のことを少しでも知っていただきたくて、あえて“自画自賛”するような話を紹介させていただきました。
最後に、今年のチームの目標は、「全員陸上」です。
P.S.
「部員コラム」の「No.248」に、今回、関東インカレ標準突破を果たした廣江早紀の文章(タイトルは「最後の挑戦」)が掲載されていますので、あわせてご覧ください(5月1日に「標準突破」を果たす直前に書いた文章です)。