チューリップ最近買った本。

『道のまん中のウェディングケーキ』
『読めよ、さらば憂いなし』松田青子
『100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート』
『エドウィン・マルハウス』ニコルソン・ベイカー


チューリップ読了

ジャック・ロンドン『火を熾す』柴田元幸翻訳選集
屈しても強烈な空腹の中でも死にかけていても、淡々と現状を受け入れている。というか、受け入れすぎである。人の感情やらが、ない。
さっぱりしていて、よい。

北国にいて、木の枝枝が雪の重みでたわんでるのみて、ああ焚き火、消えないで~と思った。

あと、おいおい、っていうエンディング。特に最後の二編「世界が若かったとき」と「生への執着」は、最後の10行くらいであっさり過酷状況脱出になっていて、あれまあって面白かった。
熊の頭部をぱあんと強打するところ、笑った。ジキルとハイドじゃないよってナレーションが入ったが、すごい思い出した。


町田康『告白』
熊太郎、しょうもないながらも、成長している。
これ読みつつ、ジャックロンドン読んでいて、ちょうどいい案配の味加減。


ニコルソン・ベイカー『中二階』
これ、これ面白い。
何度も笑った。
ベイカー氏、結局これ全部、言いたいだけじゃんね。好きだけど。


札幌の大通り駅中の古本市で買った
コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』。

手に取る前の想像内では、ケルアック的なロード系か、スーホの白い馬的なモンゴル高原をひたあるく(なぜか)父子の物語、父と子の対話を通して明かされる事実、母との再会、子の成長。などといったほのぼの系だと思っていた。

違う。
略奪腐敗人肉食らうようなこの世の終わりの世界。生きるものが死に絶えた灰に覆われた世界。出会う人すべてが敵。そのなかで生き延びる父と子。南を目指してひたすら歩く。朽ち果てた廃屋に侵入し、みつけた食料で食いつなぐ。
子は、終わりの世界しか知らない。

なんということ……恐ろしかった。だからこんな表紙、黒々してるのか。

世界はオースターの『最後のものたちの国で』に似ているが、父と子の会話はサローヤンの『パパ・ユーア・クレイジー』に似ている気がする。


「頭に入れたものはずっとそこに残るんだ、といった。そのことに気をつけたほうがいい。
忘れてしまうものもあるんでしょ?
ああ。人間は憶えていたいものを忘れて忘れたいものを憶えているものなんだ。」


父と子は「火を運ぶ」。

そして、この作品、というか翻訳、読点が全くない。
どんなに長文になっても、ない。
無呼吸、無感情、息の詰まった出口のなさ、緊迫感が出る。


そして、きょうアウシュヴィッツ解放の日から72年で、そんな日にこの本を読めて、良かったなと思いました。


チューリップ読みさし本

スティーヴン・ミルハウザーの『エドウィン・マルハウス』
ミルハウザーと私、同じ誕生日だった!




チューリップ
大丈夫。