僕が頻繁に訪れるサイトが存在する。『日本民族のガラパゴス的民族性の起源』というブログだ。
Y染色体、ミトコンドリアの両遺伝子を主体として様々な民族について語るのが主な内容で、健康に関する論文の掲載・解説も行っている。
このサイトは情報量がとても多いし、データ同士の比較もあって非常に読みやすい。僕自身、引用したいデータ表があればまずこのサイトを使う。
他にもY染色体の民族ごとのデータについて知りたい人がいれば、まず手始めにここを訪れる事をオススメする程だ。
一方このサイト内では、明らかに疑問にしか思えない仮説、論拠が所々で展開されている
ABO血液型による性格決定のような無茶としか思えない論説が語られ、それに対しての学術的な根拠による補足がなされていないのだ。
例えばY染色体のD2タイプを軸とする集団がジャガイモ頭であるという主張だが、それはアンダマン島の熱帯に適応したジャワラ、オンゲ部族に限っての話ではないか?
D2主体のアイヌ民族は彫が深い顔立ちであり、ジャガイモ頭にはとても見えない。
(↓ウィキペディアのアイヌ人写真)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d7/AinuGroup.JPG
またO3系統が武士団族だと言うが、そもそも武士は初期日本の武官(兵士集団)とはルーツが異なる存在ではないのか?
武士の成立には俘囚と呼ばれる蝦夷集団(おそらくD2主体であると思われる)が関わっており、鎌倉時代の関東地方武士団の骨格が縄文人と近いという話もあるが、どう説明するのか?
そしてY染色体のタイプによって性格が異なり、日本人は自己中心的な性格である侵略者O3系統の都合のいいように国の舵取りが行われてきたという。
しかし、そもそも性染色体の一つに過ぎないY染色体が人の性格にまで影響を与えるのだろうか?
(余談だが、傲慢な性格で知られるライブドアの元社長:堀江貴文氏のY染色体タイプはD2である)
http://ameblo.jp/takapon-jp/day-20090116.html
僕も遺伝・人種インフォマティクスについて全て知っているわけではないので、単に見落としている知識があるのかもしれない。実際、上記の根拠・反論を示してもらえるのであれば素直に納得ができる。
しかし、そういった疑問への補足が一切なされないまま、ただ持論を展開しているだけのような記事が、あまりに多いのではないだろうか?だとすれば、情報を発信する側として明らかに無責任な態度ではないのか?
僕はこのサイトと管理人の知識量・探求心対しては尊敬の念を抱いている。
だからこそ、この記事を見かけたのであれば是非反論をして頂きたい。