それから
何日も公園でフリースクールの案内書を見た。
安田さんは私に何をさせたかったのだろうか?
学校なんてどこも同じじゃないか?
また汚いと言われないか?
ただ、肌の調子はだいぶ良くなっていた。
頭もクリアで、色々なことをイライラせずに考えられるようにもなっていた。
これが安田さんがくれたものなら、この先には一体何があるんだろう。
幾日も
幾日も考えた末に、
私はフリースクールにまずは行ってみようと思い立った。
その理由の大部分は、
外で座っているのが寒く、
辛くなってきたからだった。
とりあえず寒さがしのげる場所があればいい。
でもまた私は嫌われるかも知れない。
でも……
でもその時はそこに行かなければいいか。
その時、
私はその時に初めて、
自分の決意で自分の進む第一歩を踏んだんだと思う。
それは、普通の人から見たらなんてことはないことなのかも知れないけれど、昨日までの私には無かった初めての“勇気”が為せた第一歩だった。
今でこそ“勇気”の必要性は身に染みてわかる。
そしてそれは『自分で決める』という決意の現れだ。
人からの視線が怖かった自分が得た初めての勇気はヤスダタミコが与えてくれた。
そしてそれは幸いにも私に生きる力を与えてくれた。
違う環境に飛び込んでみる勇気。
アイハには小さい頃から教えてきた。
だからこそ向こう見ずにも育ってしまった訳だけど、私はそのことを今でも大切なことだと思っている。
フリースクールに入るにあたって、一番の難関は父だと思われた。
未成年である私には、父の承諾が必要であると言われていた。
何て父に言おうかと何日も考えた。
誰かに付いてきてもらおうか。
手紙を書こうか。
いや、誰かに書いてもらおうか。
フリースクールの案内書がしわくちゃになった末に、やっぱり直接話をすることにした。
父はいつも通り黙って話を聞いていたが、何も言わず案内書にサインと判子を押して私にくれた。
何日も悩んだことが馬鹿らしくなったのを覚えいる。
そして、やっぱり父は私なんかには興味が無いのだと思った。