胃カメラが終わった後、「次の大腸内視鏡の説明をします」と、別室に呼ばれた。

看護師さんが、説明してくれる。

看護師「下剤を飲んで、便を全部出し切ってから、病院に来てください」とのこと。

検査は午後2時~。

前夜の午後8時に15mlぐらいの液体を200mlの水に溶かして飲む。

当日は朝6時から、2リットルの下剤を2時間かけて飲む。

前夜はわかった。
この当日の「朝6時から」「2リットル」「2時間かけて」っっていう指定がすごい。

一気に飲んでもダメらしい。

当日の下剤は、ビニール製の入れ物に白い粉と水を2リットル入れて、自分で作る。
粉末で作るスポーツ飲料って感じかな。

看護師「ポカリスエットをすごくまずくしたような味です。いやになると思うけど、最後まで頑張って飲んでください」

おいおい、「まずい味」って、最初からだいぶネガティブ情報入れてきたなー。

看護師「みんな、冷やした方がまだましだって言ってるんですけど、12月だし、冷えますよねぇ」

それは大丈夫。自分、冬でもアイスコーヒー頼む人。冷たい飲み物の方が好き。

そこまで説明して、看護師さんは消化器科の先生がつけたメモに気がついた。


看護師「“血が出ているようなら病院で飲んでください”。血が出ているようなら…っていうのは…?」
私「血便が…」
看護師「あぁ、血便が出て、内視鏡なんですね。すごく出るんですか?」
私「いえ、今は出てないと思うんですが…」
看護師「でも、血が出るようだったら、病院に来て飲んでくださいね。何度もトイレに行って便を出すようになるので、その度ごとに血が出てたら、貧血で倒れちゃいますので」

…こわっ!確かにその通りだけど怖いわ!




家で大腸内視鏡についてネットで調べてみる。
確かに、下剤がまずいらしい。

下剤を飲んだところで、大腸内視鏡検査の9割終わったと思っていいということを書いている人まで。

どんだけまずいんだよ。




そしていよいよ大腸内視鏡前日。

会社には「明日は病院に行く」「でも、ちょっと会社に出てくるかもしれない」と言った。

なんか大腸内視鏡の検査があるって言い出しにくい。

仕事はどんどん溜まっているから、できる限り会社には行きたいのだけれど、行ける状態かどうかはわからないのだ。

午前6時から2時間かけて下剤を飲んだら8時。
で、検査は午後2時。

その間、6時間あるけど、トイレにこもりっきりになるくらい出るのか?
それとも2時間のうちに出ちゃって、6時間は会社に行ける状態?

いや、もう、飲んでみないとなんともわからんな。

とりあえず、夜の8時に会社で下剤を飲んだ。

説明書によると、翌日朝あたりに便意を催すらしい…が、すでに午後11時ぐらいには便意が!

自分の腹には効きすぎるらしい。

看護師さんに勧められた通り、前日に下剤を作って、冷蔵庫に入れて就寝。




翌日午前6時に起床。

よし飲むぞー。

2時間で2リットルってことは、15分でコップ1杯ずつぐらいのペースでいいよね。

まずは一口。

まぁ、確かにポカリをまずくしたような味だけど、飲めなくないか。

二口目。

うん。やっぱまずいな。

三口目。

いやー、ホントまずい。
もう四口目、飲む気がしない。

それでもチビチビなんとか飲み続けるものの、全然減らない。

1時間経ってもまだ500ミリリットルぐらい。

お腹も反応なしだし。

ため息つきながら、またチビチビ飲み始める。

猛烈にまずい。

まずいまずいまずい。

1時間半ぐらい経った頃、ようやく便意を催してきた。

もちろん、血は出ていないので、家で全部出し切って病院に行くパターンでいいみたいだ。

病院から紙を渡されていて、便の形状を記録しなくてはいけない。

固形から水溶液状まで、ご丁寧に写真付きで、「どれに近いですか?」みたいなのを書いていく。

確かに、トイレの回数が増えるごとに固形状のものが水っぽいものに変わっていく。

2時間でまだ1リットルぐらいしか飲めていない。

こんなんじゃなダメなのか?

仕方ないから、もうちょっと飲んでみる。

まずい。相変わらず、すごくまずい。っつーか、まずさが増してる!

そこでようやく気付いた。

下剤を作った時、攪拌が足りず、下の方に溶けきらない粉が溜まってて、飲み進めるうちに味が濃くなってるんだ!

やっちまったー。
でも、これ以上、水を加えてかさを増やすなんてもう耐えらない!

濃い目の下剤をまたチビチビ飲む。
もう、あまりのまずさに舐めるぐらいしかできない。

それでも、トイレの回数が10回ぐらいになったら、もう、ほとんど固形物が消えた。

水っぽいものがジャーっと出るだけで、それはそれは不思議な感覚。

病院からもらった説明書の写真を見ると、レモン色の水になったら終わっていいらしい。

じっくり確認してみるが、だいたい同じ色。

もう、いいだろう。

下剤はあと500ミリリットルぐらい残ってるけど…。



いわゆる宿便も全て出たってことで、体重を計ってみる。

6キロ減ったと思った頃からさらに2キロ減っている。

久しく見たことのない数値。
この数字を維持したいもんだ。



その後も何度かトイレに行って、途中便意もおさまったので会社で一仕事して、病院に行った。

病院に行く頃には、トイレが15回目ぐらいになっている。

さすがにそれぐらい回数を重ねると、「わぁ、だいぶ頑張りましたねぇ。偉いです」と何故か看護師さんに褒めてもらえた。



毎度おなじみ、病院の奥の検査棟に連れて行かれる。

紙パンツとスリッパを渡された。

ハーフパンツぐらいの丈で、お尻部分に穴があいている。

いよいよ来たか~。でも、ネット情報によると、もう9割は終わってるんだよな。

またも倉庫のようなわけのわからないところで着替えをさせられてから、検査室に入った。

「私がやって差し上げられる」と言った女医さんが待っていた。

今日も靴下はくるぶし丈だ。

やっぱりこだわっている。

そんなことはどうでもいい。

「宜しくお願いします」そう言ってベッドに乗った。

横向きになって、先生のほうにお尻を向ける感じ。

先生は少し紙パンツをめくると、お尻に注射した。

「じゃあ始めますね」と言って、何やらドロッとしたものを肛門に塗りつける。

そして、ついに内視鏡が入ってきた。

痛っ!と思ったけど、その後はそうでもない。

どうやら、一番奥、小腸の入り口まで一回入れて、抜きながら見ていくらしい。

すぐに体位変更。

今度は仰向けになって、左の足の膝を曲げ、その膝の上に右足を乗せろと言われる。

寝ながら、足を組んだみたいな。

足元に見える先生が長いワイヤー状のものを動かしているのが見える。

動きが、芝生にホースで水をまくときみたいだ。

こう、左右に揺らすみたいな。

でも、ここでアクシデント発生。

どうやら、あともうちょっとで一番奥なのになかなか入らないらしい。

看護師さんが先生と息を合わせてお腹を押す。

さすがにこれは痛い。

なんとか頑張って、一番奥に到着して、先生も一安心。

映像を見ながら、徐々にカメラを引っ張って、悪いところを探していく。

先生「ここが小腸の入り口で、このヒダに…」と色々説明してくれる。

映像は自分でも見られるようになっているけど、なかなか直視できないね。

先生「ここ!狭くなってるでしょ?この裏が子宮なんだけど、筋腫が大きいから大腸が押されて、狭くなってるのよ。この内視鏡も一番細いものを使ったから入ったようなもので、通常の太さだったら入らないよ?これだけ狭くなってると便秘気味じゃない?もっと大きくなったらもっと便秘になるから、消化器科としても手術をお勧めします」

あの、血便が出たとき、ぎゃー、大腸がんの症状に当てはまるーと思った「細い便」はこのせいだったのか?

最奧から、引っ張って5分ぐらいでスポンと抜けて終了。

「腸も問題ないですし、痔でもありませんので、安心してください。産婦人科の先生には報告しておきます。手術頑張ってね」

先生はそう言って帰って行かれたのでした。



とりあえず消化器に問題がないってことは分かった。

結局血便の理由はわからないけど、手術は予定通り受けることになりそうだ。