本日午後からは、富山県民会館で開催される越中史壇会特別講演会を拝聴。
越中史壇会は年間3回の研究例会を開催しており、今回が3回目の研究会。
年間3回の研究会を開催するだけでもすごいが、内容もかなり濃いものだ。
今回は日本中世史研究者の盛本昌広氏を講師にお迎えしての特別講演会。
盛本氏は、『中近世の山野河海と資源管理』(岩田書院2009年)、『本能寺の変 史実の再検証』(東京堂出版2016年)を執筆されており、古文書等の史料を緻密に分析し、中近世の世界を描かれておられる。
演題は「中世北陸における山野河海の利用と管理」
盛本氏曰く、「山野河海(さんやかかい)に関する研究方法や課題は数多くあり、今回発表する内容を真剣に話したら2時間では収まらない」とのこと。
今回は5つのテーマについて富山県と周辺地域の状況を聞くことができた。
①従来海の研究が先行していたが、近年は河の資源(鮭や鱒)についての研究も必要であり、越中の河で採れた鮭などが舟によって京まで運ばれていたこと。
②水産物・鳥など山野河海の産物が献上品や贈答品となり、それが大名や領主による支配権、百姓による漁業権などの生業に密接に関連していたこと。
③戦国時代には木材などの軍需物資の必要性が高まり、山林資源の確保のために動いている実態があったこと。
④富山平野と高原郷や飛騨との交流から、神岡鉱山の開発が中世に遡る可能性があること。
⑤富山県南砺市福光町周辺にかつて成立した石黒庄という荘園を舞台にしておきた地頭と荘園領主との相論があったこと。
まだしっかりと自分の頭の中で理解できていないが、山野河海(さんやかかい)の資源(山は材木や鳥、鉱山等、野は畑、河は鮭などの魚、海は海産物)の利用や資源管理、流通の方法をはじめ、それらに関する訴訟ごとなどを分析することは本当に範囲の広い分野だと感じた。
それを史料から読み解き、発表しておられる盛本氏の広範囲にわたる知識に驚いてしまった。会員の皆さんからの質問にもお答えし、さらに追加の情報も話しておられた。
レジメも富山県史に掲載されている史料を数多く使用されており、今後地域の歴史を紐解く上で新たな視点を教えてもらったような気がした。
企画・運営に携わっておられた皆様、お疲れ様でした。