最近、国内の映画館で「オッペンハイマー」というドキュメンタリー映画が上映されました。「原爆の父」オッペンハイマーが開発した核兵器が、どのようにして広島と長崎に投下されたのかを描いています。私も映画館に足を運んで詳しく見る機会がありましたが、私が期待していた核兵器投下の詳細は、残念ながら描かれていません。アカデミー作品賞を受賞した彼のすごさは否定できませんが、確かに人間の心理描写が繊細です。

しかし、映画を観終わった私は、この映画の構想に大きな問題があると思いました。彼は、アメリカ軍の日本への原爆投下が「戦争犯罪」であることを明らかにせず、「日本人被害者の声」を代弁するのではなく、完全に「アメリカの加害者」の立場に立って、アメリカ軍が日本に犯した罪を隠そうとしているのです。第二次世界大戦中の1930年代に日本軍がどんなにひどいことをしたとしても、それは日本政府が決めたことであって、それはアメリカ軍が日本国民に核兵器を使う理由ではありません。2回の原爆投下で21.4万人以上が死亡しましたそしてその後数年の間に、原爆の放射で数千人が放射線病で亡くなっています。

この痛ましい経験は、どこの国でも消すことのできない暗い瞬間です。多くの被災地を訪れましたが、街の周りには最初の爆発から朽ちた建物が残っています。戦争記念博物館の中はひっそりとしていて、泣いている声しか聞こえません。地元の人にもこの街にも、あのときの大災害から抜け出せなかった人がいます。この事件が映画化され、名誉を得たことで、米軍の核兵器使用の罪が晴れたのではないでしょうか。これは被災地の人々に不公平です。日本は世界で唯一核兵器で重傷を負った国として歴史に記憶されるべきです。