善良なファンを締め出すことの本当のリスク
――甲子園と阪神タイガースの未来を思って
今シーズンの甲子園主催試合のチケットが、発売からわずか短期間で完売したという話題がありました。
人気の高さを示す一方で、私は強い違和感と不安を覚えました。
なぜなら、その裏で「本当に球場を支えてきたファン」が、静かに締め出されている現実があるからです。
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毎試合、誰に言われるでもなく清掃するファンがいる
私は甲子園で試合を観戦したあと、
自分の席周辺だけでなく、通路、場合によっては球門付近まで、
自然とゴミを拾い、清掃してから帰ります。
これは私一人の話ではありません。
長年甲子園に通う多くのファンが、当たり前のようにやっています。
球場をきれいに保ちたい
次に来る人に気持ちよく使ってほしい
甲子園という場所を大切にしたい
そういう思いからです。
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善良なファンは、声を荒げずに去る
今回のチケット販売方法では、
昼間に時間が取れる人は購入できる
夕方以降しか動けない人は、最初からチャンスがない
という構図が生まれました。
問題なのは、これが「熱意」や「応援歴」とは無関係に決まってしまう点です。
そして何より怖いのは、
この不公平に対して、善良なファンほど大声で怒らないということです。
> 「文句を言っても仕方ない」
「もうええわ」
そう思って、静かに離れていく。
この層こそが、
球場の空気を守り、文化を支えてきた人たちです。
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短期的な完売は、成功でも正解でもない
チケットが早く売れる。
完売する。
それ自体は、興行としては成功です。
しかし、
公平性を欠いた完売
ファンの分断を生む完売
善意を持つ層を排除する完売
これは、将来にツケを回すやり方です。
このツケは、必ず後から来ます。
観客層の質が変わる
球場の雰囲気が荒れる
新しいファンが育たない
一度失った信頼と文化は、
お金をかけても簡単には戻りません。
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本当に必要なのは「売り切る工夫」ではなく「行き渡らせる工夫」
たとえば、
発売初日は「1人1試合まで」
1試合購入した時点で強制ログアウト
時間帯によるアクセス集中を自然に分散させる
こうした仕組みは、
売上を大きく落とすことなく、公平感を高めることができます。
「全員が満足する」ことは無理でも、
「全員にチャンスがある」と感じられる設計は可能です。
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阪神タイガースが後悔しないために
私は阪神タイガースが好きです。
甲子園が好きです。
だからこそ言います。
善良なファンを締め出す球団は、
いずれ必ず後悔します。
それは敗戦よりも、
一時的な不人気よりも、
もっと深く、長く尾を引く後悔です。
どうか、
数字に表れない「支え」を、
軽く扱わないでほしい。
甲子園は、
ファンの善意と誇りで成り立っている場所なので。