イスラエル・パレスチナ紛争の報じられない側面

現代のイスラエルとアラブ諸国の緊張関係の中心にあるのが、なんといっても「イスラエル・パレスチナ紛争」といえるでしょう。日本でも、この紛争に関してニュースが報じられるたびに「イスラエルが悪い」「パレスチナが可哀想」という言説が飛び交います。欧米では反イスラエル感情はもっと激しく、BDS運動(イスラエルへのボイコット)が国をまたいで行われています。

ともあれ、「イスラエル・パレスチナ紛争」について、日本ではほとんど報じられない視点から述べてみたいと思います。

本当に「イスラエルだけが悪い」のか
イスラエル・パレスチナ間で紛争が起きるたびに、IDF(イスラエル国防軍)が民間人の家を攻撃し多数を死傷させた、パレスチナの子供を虐殺していると一方的にイスラエルを指弾する人たちがいます。しかし、本当にイスラエルだけが悪く、パレスチナの側には何の落ち度もないのでしょうか。

「パレスチナ人が可愛そう」と言うと、それは確かに一面では正しく、戦闘に巻き込まれた市民には落ち度はないのですが、そこに留まってしまい背後にいるイスラム過激主義者の正体を見誤ったとしたら、とんでもない過ちです。

イスラム過激派ハマスの実態
パレスチナのガザ地区を支配しているのはハマスというイスラム過激組織です。
ハマスはその憲法といえる「ハマス憲章」で、ユダヤ人陰謀論を説き、イスラエルという国を完全に破壊すべしと唱えています。そして豊富な資金を元に武器を揃え、軍事キャンプを設営し、無数のロケット弾をイスラエル領内に撃ち込んできました。
以下に、ハマスの典型的な戦術をいくつか挙げてみます。

ロケット攻撃
ウィキペディア英語版によれば、2014年の夏に行われたIDFによるガザ地区への侵攻作戦「Operation Protective Edge」に先立って、およびその作戦中に、実に4千発ものロケットおよび砲弾がガザ地区からイスラエル領内に撃ち込まれたと記録されています。

現地で暮らしている日本人のブログなどを見ればわかりますが、ロケットが発射されるたびにサイレンが鳴り、市街地に被害を及ぼしそうな場合は迎撃ミサイルで撃ち落されますが、近くに着弾する可能性があるとわかればシェルターに避難することなります。

しかも、ロケット発射台やロケットの格納場所が曲者なのです。

ハマスは多くの場合一般市民の住宅地の近くからロケットを発射します。

昨年、イスラエルのナタニエフ首相は、UNの会議でハマスのロケット発射台の周囲でパレスチナ人の子供たちが遊んでいるショッキングな写真を提示しました。


同首相は、「イスラエルは自国の子供たちを守るためにミサイルを使った。だがハマスはミサイルを守るために自らの子供たちを使っていた」と痛烈に批判しました。


もっとひどい場合、病院の建物から発射されたロケットもあります。

また、学校の敷地内にロケットが集積されていた、という報告もあります。


なお、ハマスが使用するロケットには誘導装置がついていません。従って、イスラエルの一般市民であろうが軍事施設であろうが関係なく無差別に攻撃していることになり、これ自体国際法違反といえます。そのようなロケットを撃ち込むだけでなく、なぜ子供たちの遊び場の近くや病院から発射したり、学校に集積したりするのでしょうか。

これには、非常に狡猾な狙いが隠されています。IDFがそのような拠点を攻撃すれば、必然的に「イスラエルは病院や学校を攻撃した。一般市民を殺した。非人道的だ」というプロパガンダの材料になります。ハマスはそうなることを狙ってイスラエルを攻撃しているのです。

人間の盾戦術
この戦術をもっとあからさまにしたのが「人間の盾」です。イスラエルは空爆時にパレスチナ市民が逃げることができるように事前に警告を発するなどしています。ところが、ハマスは対象地域にいる民間人に「避難するな、とどまれ」と命じます。それどころか攻撃対象となったビルの屋上に民間人を集合させることすらあります。
以下のサイトでは、ハマスがガザの住民に向けて発した通達が公開されています。


"The army of the occupation [i.e., the IDF] has recorded a telephone message and used it to call tens of thousands of residents in all areas of the Gaza Strip, calling on them to vacate their homes immediately. We hereby note that these recorded messages [have as their objective] to frighten the residents, to sow terror and weaken the internal front in the shadow of the enemy's failure. We call on our dear residents to reject these messages, not to vacate their homes and to conduct themselves calmly.

「占領軍[IDF]は録音メッセージを使って何万人ものガザ地区住民に電話をかけ、家から速やかに避難するよう呼びかけている。われわれは、これらの録音メッセージは、敵の落ち度のゆえに住民をおびえさせ、恐怖を撒き散らし、内部の戦線を弱体化させる[目的である]ことを指摘する。われわれは親愛なる住民たちに、これらのメッセージを拒絶し、家から避難せず落ち着いて行動するよう呼びかけるものである。」(筆者訳)

この文書によれば、イスラエルが空爆前に避難を通告していることは、ハマス自身がはっきりと認めているということになります。そのうえで、その通告を無視しろ、と言っているのです。

この通達だけではありません。ハマスの幹部が自ら、「イスラエルと戦うとき、市民は、女、年寄り、子供までもが盾となってくれている」と得意げに語っています。


"For the Palestinian people, death has become an industry, at which women excel, and so do all the people living on this land. The elderly excel at this, and so do the mujahideen and the children. This is why they have formed human shields of the women, the children, the elderly, and the mujahideen, in order to challenge the Zionist bombing machine. It is as if they were saying to the Zionist enemy: 'We desire death like you desire life.'"

「パレスチナの人々にとって死は『産業』になっている。女たち、そしてこの土地に住む全ての人々はこれに長けている。年寄りも、そして聖戦士たちや子供たちもこれに長けている。それだから、彼らは女たち、子供たち、年寄り、聖戦士たちによる人間の盾を作って、シオニストの爆撃機械に対抗しているのだ。あたかも、敵のシオニストたちに向かって『お前たちが命を望むように、私たちは死を望む』と言っているように。」(筆者訳)

つまるところハマスは、IDFと対峙する際「巻き添えにならないよう逃げろ」と指示するかわりに、できるだけ多数の民間人(子供含む)が巻き添えになることを励行しているのです。

ハマスの戦闘マニュアルには「民間人の家屋が破壊されることは、市民のIDFへの憎悪を喚起し、ハマスへの支持を増やすことにつながる」と書かれていることが判明しています。


さらにショッキングな映像もあります。ハマス戦闘員がIDFと戦闘中に、遮蔽物の陰に隠れている子供をひっつかんで連れて行っているのです。どこへでしょうか?わかりませんが、子供を保護しようとしているのではないことだけは確かです。(以下リンクの二番目の動画0:20のあたりです。)


銃撃戦に巻き込まれて子供が死ねば、ハマスは「イスラエルはパレスチナの子供を殺した」と声高に叫ぶでしょう。しかし、もともとハマスは子供が戦闘に巻き込まれないようにしよう、などとは毛ほども思っていません。これは憶測などではなく上記の指導者の発言とよく一致します。

日常的なテロ攻撃
ハマスだけではありません。イスラエルではアラブ人によるユダヤ人へのテロ攻撃が頻発しています。銃の乱射、車で轢く、火炎瓶を投げつける、投石、ナイフで襲うなど、その手口はバラエティに富んでいます。以下のページでは、そういった事件を例示するとともに、ムハマド・アッバス議長など著名なパレスチナ指導者によるテロの励行が行われている事実を指摘しています。


日本メディアはこういった事件に一向に目を向けません。その反面パレスチナ人が殺されると即「イスラエルは残虐」となるのは、まるで催眠術にでもかかっているようです。

次に、イスラム過激派に典型的にみられる反ユダヤ的言説にはどのようなものがあるかに触れていきたいと思います。