0007
持ち主を知っているスペアキー

18時17分
空は青から濃紺へと変化し、町の明かりがグラデーションをかけ始めた

僕が幼い頃に遊んだ道の上には、

highwayが君がいる83km先の西の町に向かって

定期的な明かりを伴いながら続いている

君がいる場所がA地点としたら、僕が現在(いま)いる場所はB地点

B地点は時速70kmでA地点へ向かっている

自分の仕事にウソがつけずに

スペアキーをシューズクロークにおいて西の町に移り住んだ君は

キャリアを終わらせ

いくつかの恋を終わらせ

半年前に僕に電話をくれた

「まだ一人?」

「スペアキーはずっとシューズクロークだよ」


B地点はA地点まで5kmのところを接近中

君は大きなボストンをロックして

何もなくなった部屋の電気を消す

僕はA地点まで2Kmのhighwayのインターチェンジを降りた

バックミラーにはスペアキーが揺れている
0006

彼女の好きな場所

アパートメントの2階に上がる階段

階段の横は南南東に面して大きくガラスが張られている

その場所は僕らの部屋の新しい朝への入口で

日が傾くと外の木々が散りばめられた落ち葉の上に長い影を伸ばす

君はその階段の3段目に座ってお気に入りの小説を読んでいる

そしていつの間にか眠ってしまう

僕は慣れた手つきで階段の4段目からカーディガンを

そっと君の肩に掛け、いつ目覚めてもいいように

キッチンのコーヒーメーカーのスイッチをONにするんだ


2年の月日は階段に君の残像だけを残した

僕はあの時と同じコーヒーメーカーにスイッチを入れ

ひとつなくなったカップにそそぐ

西の町に引っ越した君は今でも階段の3段目で

寝息をたてているだろうか


ハーフ トレンチ


薄赤色の町が暗く染まる頃
ベージュのハーフトレンチを一緒に買いに行った彼女から
メールが入った。
「ごめんなさい、やっぱり私、忘れられない」
彼女は僕の親友と3年前に死別した。

「いいよ。。」
2000文字書けるメールに僕は
5文字の別れを告げた

あれから2年
あの時、彼女の為に買った
アイアンのハンガー。

あと270歩でたどり着く
ベージュのハーフトレンチを待っている