この物語はフィクションである。物語がフィクションなのは当たり前だ。だから書いてあることにリアリティーがないとか言われても、「ごめんなさい」と言わざるを得ないし、逆に事実と異なると言われても「事実って何?」と思わざるを得ない。なるべく楽しんで欲しい、ただそれだけである。2014年7月28日修正版
せいたんパート3その13
高梨はバスの昇降口から降りて右に向かった。
せいたんとメッフィーはそれを見て左に向かった。
「さて、どうしようか」せいたんが言った。続けて
「高梨さんの住処がどこか知っているけど見たい?」
メッフィーは少し考えた。
メッフィーは自分が登場人物中、一番常識的に物事を捕らえていると思っている。
せいたんの問いは何を意味しているのだろうか。
メッフィーは二択問題をイメージした。
1.高梨の家へ行く。
2.せいたんの暮らしをみる。
時空を超えたある種の・・・「それ」あるいは「神」(メッフィー的にはジジイ)が、どっちが見たい?たずねている。メッフィーは賢明にもこの世界の文脈を正確に捉えていた。
メッフィーの興味を超えた何かがあることを感じる、ある種のプレッシャーだ。
【みんなはどっちが見たい?】
メッフィーは答えなければならなかった。
「いいえ。高梨は後でもかまいません」
メッフィーは2を選択した。
「少し疲れたので、せいたんさんのおうちでワインを飲むというのはどうでしょう?実は私は本物のワインを自在に発生させることができます」
せいたんも考えざるをえなかった。この空間という舞台の外での様子を想定していなかったわけではない。むしろこの空間での視点は通常では一つということになっている。だからそれは想定するだけですでに存在しているのだった。
せいたんは少しの腹いせのためにメッフィーについて突っ込んでみる。
「メッフィーはどこに住んでいるの?」
「ハルツ山地の辺りが私のシマです。ブロッケン山に山荘を持っています」
かなりまともな答えが返ってきたのが以外だった。
「ドイツだね。遠いところからご苦労である。ワインも美味しかろうねぇ」
こうなると腹の探り合いだ。
「ご自宅ご一緒したいですね。かまいませんか?」
二番か。
自宅ににメッフィーを連れて行く。
「では、わが家へ行くとしよう」せいたん言った。
つづく