今日はヘンな日だった。昼休みにキーホルダーに付けていたUSBメモリーがなくなっていることに気づいていた。
しかし、午後は仕事が忙しかったので、そのことを忘れて働いていた。
(そのくせそれほど捗ってもいなかった)
定時に帰るつもりだったが、一件だけメールを送ってからと思い、目上の人にEメールを書いた。
15分だけサービス残業をするつもりだった。
(たくさんサービス残業を強いられている方には申し訳ない)
15分で書き上げ送信して会社を出た。
歩いているとき、さっきのメールは別の人に出した物をコピペして、登場人物を
変えただけだが、それらはすべて正しく変更しただろうか?などと心配になった。
「っていうより、ファイルを添付し忘れた!」
駐車場まで歩いてきたが、また事務所に戻った。
PCを再び起動した、起動を待つだけなのはとても長い時間に思える。
(ふだんはほかの事をしながら使用可能になるのを待つよね?筆記用具をだしたり、書類をそろえたり
ラジオ体操をしたり)
ハードディスクが落ち着くのも待たずに、アウトルックを立ち上げる。
あーおそい。なんて遅いんだ。
そしてやはりファイルを添付するのを忘れていた。
添付してみる。「再送」~の件。添付するのを忘れました。申し訳ありません。を付け加える。
「ちが、これは前に別の人に出したほうだ。あぶねい」
正しいほうを添付して「送信」
よし帰ろう。内容はたぶん大丈夫なはずだ。
車で帰宅する。「そーだ。USBメモリーがないんだ」
たぶん新聞沙汰になるようなものは入れてないはず。
(ヒラ定期社員なので重大な資料など持っているはずも無い)
個人で使っている物なので、大丈夫なはずだが、
落としたのなら、拾ってくれるより踏み潰してもらったほうがありがたい。
その遺骸を確認したほうが安心できる。
入っていると思われるのは、
スーパーπ←PCに負荷をかけるソフト。
実家(自営業)のホームページ用の写真←持ち主が特定されてしまいそうなもの。
セキュリティ管理ソフトのセットアッププログラム←3台分のPCに分配するために持ってた。
フリーの単語カード作成ソフトと、自作の問題集。(ある技術試験の過去問)
職場の持ち回り宴会幹事長だったときの名簿と会計簿(これやばいな)
自分の写真。など
大丈夫そんなにやばいものはない。新聞沙汰にはなるまい。
これらの考えで激しく脳は回転する。
運転は上の空、誰も跳ねませんように。
大丈夫。動揺している自分に気づいているほどには冷静だ。
帰宅後は風呂。
人はジャンプーするとき、いろいろな思いをめぐらす。
いつから無かったんだろう?
昨日か?何処へ行ったっけ。
レンタルビデオ屋、銀行、散髪、外食。
一昨日は?バイクでホームセンター、電気量販店。
それだけだっけ?何か忘れてないか?
外食後帰宅したとき家の鍵を空けたのは自分だった。
そのときUSBメモリーは付いていったっけ?
風呂を出た。ある種の予感を働かせる。ここにありそうと感ずるのは何処?
昨日履いたジーンズのポケットを調べる。自分の車の中を探す(100円ライター発見)
親の車のリアシートを捜す。
土日そして今日着ていたもののポケットを探る。ない。
兄に聞いてみる「おれUSBメモリーなくした」
「やばいじゃん」と兄
「やばいよ。うん」
ご飯の時間だ。母に聞いてみる。
「USBメモリーをなくした」
「ユーエスビーめもりーって?」母はそれ自体をよく知らない。
「黒いやつだ、これくらいの」、俺は指でその形と大きさを示す。
「落ちていたから上げておいたよ。もってくる」と母。
何処からか持ってきた。
「おお、これだ」
「パソコンの部品みたいとは思ってた、庭に落ちてたよ」
「これで眠れる。安心して。ありがと」
兄にもUSBメモリー発見を伝える。
「嫁のPC、メールが読めなくなった。どうやるの?」兄も問題を抱えていたようだ。
さらに「ウィンドウズアップデートしたらメールアカウントが消えたらしい。違うメーラーにするけど、
どーやるの?」
プロバイダーのホームページで「メールの設定方」を探せばよいと助言した。
しばらくすると、兄が「パスワードなんだっけ?嫁の」
これだっけ?紙に記してあったのは無線LANのパスワードだった。
これじゃないな。
俺がプロバイダにログインして確認してあげよう。
ログインしてみる。
パスワードを忘れた場合、パスワードを変更するらいい。
ただし、メールが使えている時に可能。
じゃあ、俺のアカウントで問い合わせをするのか?
ネイサンのアカウント一旦適用するのか?めんどうだなぁ。
ふと、兄が手にしていたメモ紙の隅にパスワードらしき文字に羅列があったのを思い出した。
それは兄の子供たちに関連する数字や頭文字ではなかったかと気づいた。
「こっちの方が御姉さんのメールパスワードだ。子供たちの■○△むにゃむにゃをならべ変え、数字を
××すればそうなる」
「おまえ頭いいなぁ」
「ああ、記憶力はないが、暗号解読だけは一時的にIQ200以上に跳ね上がるのだ俺は」
とりあえず一安心した一日だった。
何事も無かった日のほうが、むしろ生産的だ。
 
小話で「退屈だ、お金を拾うと嬉しい気分になるからやってみよう」
って話があった。足元に小銭を投げて拾う。「ちっとも嬉しくないな」
もう一度投げる「今度はドブに落ちてしまった!」
一生懸命ドブさらいをして、やっと小銭を見つけて
「ああ良かった!」
 
無駄に心配したり、あせったり、喜んだりできた今日は、幸せと思うことにする。
安心して眠ろう。
 
good night>all