不思議な「透明」プリウス | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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10月25日から日本科学未来館で開催される「デジタルコンテンツEXPO2010」で、慶應大学の研究チームが開発した透明なプリウスが展示される。プリウスの後部に設置されたカメラが撮影した映像が後部座席に投影されて、車体が透明になっているように感じられるというものだ。これによって運転時に運転者の死角が大幅に減少し、安全性と安心感が高まる。この技術は、車をバックさせるのが苦手な人の救世主となるかもしれない。

トヨタ車の人に優しい設計の一つであるバックガイドモニターは、多くの車種に搭載されている。また自動的に駐車する機能を持つ車もある。だが、これらのハイテク技術を用いても、やはりバックでぶつけてしまう人もいる。そこで慶應大学の研究チームは、バック時に車が透明になる技術を開発しようと思い立ったのだ。これは実際には、車体の後方の背景を投影するカムフラージュ技術「光学迷彩システム」であり、すでに十年前から存在している技術である。


透明プリウスの原理は、車体後部に取り付けられた3つのカメラが撮影した映像がコンピュータによって合成・調整されて後部座席に投影され、人間は鮮明で流れるような、まったく不自然さを感じさせない映像を見て、座席が透明であるような錯覚を覚えるというものだ。投影面の座席には、再帰性反射材のビーズが多数織り込まれており、デモ車では、運転席のヘッドレストにディスプレイも組み込まれる。現在の技術では、プリウスを360度透明にすることはできないが、透明自動車の実用化もすでに手の届かない存在ではなくなっているようだ。


研究チームを率いる稲見昌彦教授は、長年にわたって光学迷彩技術に着目してきた。稲見教授は、「開発目標は、運転者がガラスの自動車を運転しているように感じることだ。SF作家のアーサー・C・クラークはかつて、高度に発達した科学と魔法は見分けがつかないと言ったが、私は魔法のような技術を開発したい。」と語っている。研究チームは、この技術がいつ商品化されるかについては述べていないが、使用する材料とビデオカメラの価格が下がれば、商品化は現実のものとなるだろう。ただその頃には、自律走行車がすでに普及していて、透明自動車に対する需要はなくなっているかもしれない。だが、有名な光学迷彩技術が商品化に一歩近づいたのだから、機会があれば是非会場に行って、この特殊な体験をしてみたいものだと思う。













(C)Keio University

透明プリウス研究室 http://blog.ecocar-kaigi.jp/toumei/