最近、東京の表参道にある「文房具カフェ」が話題になっている。6月15日に開店し、わずか12日間で会員数が200名を突破した。地下の店舗に通じる階段を降りると、まず入り口にはクーピーペンシル、アラビックヤマト、ジャポニカ学習帳などが並んでいるのが目に入る。これらは日本では「古典的な学習用品」とされていて、独自の地位を保っている。お客さんの多くは女性だが、50~60代の夫婦や、20代の若者も来る。のんびりと飲食をしながら、漫画をめくったりもできるし、ノートパソコンを開いて仕事をしているビジネスマンも見られる。飲食席は60席あり、机といすのサイズは、日本で美しいとされる白銀比(1:√2)で設計され、長時間読んだり書いたりする人のために、机の下の引出しは薄めにして、足が当たらないようになっている。 店内の壁には、和紙のような特殊加工が施され、気持ちが落ち着く効果があるという。奥の壁は一面がホワイトボードになっているので、そのことを知らないお客さんは、店員がそこにいきなり文字を書くのを見てびっくりするに違いない。この壁はプロジェクターのスクリーンとしても、講習会などの白板としても使え、今後は意見交流会やワークショップの開催も検討中だそうだ。 文房具カフェなので、もちろん重点が置かれているのはたくさんの文房具である。懐かしさを感じるレトロな文具から、珍しいコンセプト商品まで、ここでは何でも探すことができる。いちばん人気があるのは、草をかたどった付箋(本にたくさんつけると草むらのようになる)、人類の進化を表現した消しゴム(表は人間、裏は猿)、精巧な切り絵が施されたカードなどで、よく探してみると個性的な商品をいろいろ見つけることができる。この他、直径2㎜の芯で鉛筆のような書き心地のシャープペンシルなど、同店のオリジナルロゴ入り商品もあり、生活の細部を重視したいという人には、様々な文具の楽しみを与えてくれる。文房具コーナーだけでなく、文房具関連の書籍をそろえた棚もあり、お客さんは自由に読むことができる。 文房具カフェには会員サービスがあり、会員登録をすると10%の優待を受けられる上に、専用の鍵をもらえ、施錠された引出しの中のノートやペンなどを自由に使うことができる。引出しの中には「定規を書いて下さい」など、「お題」が書いてあるノートが入っている。利用者が書いた内容は、その後その席に坐った人が見ることができるので、ちょっとすてきな交流が生まれたりもする。このカフェを経営する会社は、もともと紙製品や文房具の卸業者で、カフェを開いた目的は、文房具の可能性を無限に拡大し、新しいものを創り出したかったからだそうだ。日本のファッションの聖地である表参道から、文具文化を世界に伝えることこそ、この文房具カフェの信念と言えるかもかもしれない。 |
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