「みさおとふくまる」 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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青空に白い雲、その下には一面に緑の野原が広がっている。一人のおばあちゃんが白猫に向かって微笑みながら言う。「今日もいい日だね、ふくまる」

童話のように美しいこのシーンは、カメラマンの伊原美代子さんがカメラを通して記録してきた、静かで和やかな情景である。8年前、みさおさんというこのおばあちゃんは納屋で、目の色が異なる子猫を見つけ、「福の神様が来て、すべてが丸く収まるように」という意味を込めて「ふくまる」と名付けた。その日から二人の物語が始まったのだ。

写真からは、家で食事をしていても、畑で農作業をしていても、おばあちゃんと猫がいつも寄り添って、見つめ合ったり親しく寄り添ったりしている姿を見ることができる。特に印象深いのは、「花のように~みさおとふくまる~」シリーズの中の、おばあちゃんが畑に苗を植えるのをふくまるが「手伝って」いる情景である。最初に見た時はなんとも微笑ましくて笑いをこらえきれなかったが、改めて見ると、自然に感動がわき上がってきた。豊かとは言えない家庭の中で、老人と猫が支え合って生きている。日が出れば働き、日が落ちれば休む。人生とは、このように美しいものなのだ。

もう一枚は、みさおとふくまるモノクロシリーズの中の、おばあちゃんとふくまるとの出会いのシーンだ。8年前に撮影されたその白黒写真には、作品の始まりであるみさおさんとふくまるの運命の出会いの瞬間が巧妙におさめられており、目を開いたばかりの小さなふくまるが天からのおばあちゃんへのプレゼントであるかのようだ。この写真集のカメラマンである伊原さんは、12年前におばあちゃんの撮影を開始した。おばあちゃんが生きた証にするため、そして日本の本来の農村の暮らしや、営みをもっと多くの人に伝えるためである。

伊原美代子さんは1981年千葉県生まれ。日本写真芸術専門学校を卒業後、報道写真家の樋口健二氏に師事。「名取洋之助写真賞奨励賞」「上野彦馬賞日本写真芸術学会奨励賞」などを受賞し、写真展「最後の海女」や「日々是好日~みさおとふくまる~」、「みさおとふくまる」を開催している。2011年1月から、おばあちゃんと猫を雑誌「DAYS
JAPAN」に連載中。10月には写真集「みさおとふくまる」(リトルモア)が刊行された。全64ページで、定価は1680円である。 












写真提供:伊原美代子

伊原美代子写真集「みさおとふくまる」 http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=818
 
伊原美代子公式サイト http://whitemanekicat.p1.bindsite.jp/hananoyouni.html