すべてが寝静まった深夜に、一人で家にいてテレビをつけると画面は一面の雪である。おや、雪の中に何かいるようだ。黒くて長い女性の髪。痩せて青白い女性の顔。髪が長すぎて表情が見えない。その顔が次第に近づくにつれて、だんだんはっきりしてくる。充血した目と、獰猛な笑い顔。なんて恐ろしい顔だ!もっと恐いのは、その顔がテレビの中から出てきて、叫びながら部屋の中に入ってきて……ここまで読んで、おそらく恐いと感じる人はほとんどいないだろう。たとえ世界で最も評価の高いホラー映画の一つであったとしても、多くの人がすでにストーリーをよく知っており、今さら恐いと感じるはずもない。そう、上に述べたキャラクターは、日本の有名なホラー映画「リング」に登場する、長髪でテレビから出てくることで知られた幽霊、貞子なのである。 貞子の物語が生まれて20年ほどが経ち、当時の映画手法は今の我々から見るとやや面白みのないところもある。しかしこの20年ほどの間に、ホラー映画に没頭する日本の映画監督たちは、テレビから這い出してくる貞子を何度も画面の中に押し戻し、新しい時代に合った新しいストーリーを加えて、最新の心理的暗示手段と編集手法によって、ホラー映画の伝説を語り続けている。ハリウッドは「リング」の版権を買って、二つのアメリカ版の貞子の物語「The ところで、恐ろしい貞子のイメージはすでに多くの人に知られる存在であり、今や恐怖の効果はなくなり、毎日テレビでよく見られるような普通のイメージとなっており、むしろ可愛い存在に変化してきている。最近は、可愛くデフォルメした貞子をキーホルダー、携帯ストラップ、人形などにするメーカーも増えている。「貞子3D」の上映日が近づくのに伴って、ビデオ制作会社が角川書店やサンリオと協力して、可愛くて萌え死にそうな貞子のハローキティと、テレビから這い出してくる長髪のケロロ軍曹を発売した。このままいくと、貞子はそのうち本来の恐ろしいイメージを超越して、ドラえもんのような日本文化の代表的なイメージになるかもしれない。 |
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