俗と雅が溶け合った魅力 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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目の前に広がるのは、葛飾北斎の有名な作品「神奈川沖浪裏」である。だがこの絵は本物ではない。よく見るとこの「神奈川沖浪裏」は、数え切れないほどの雑誌の切り抜きをつなぎ合わせて作られているのだ。見た目を似せているだけでなく、オリジナルの風格まで感じられる。アートの手法のすばらしさに感嘆すると同時に、こうしたアイデアを考え付いたアーティストの非凡な才能にも驚かされる。

市川健治は1997年に武蔵野美術大学の大学院を修了。その後、彼の作品は日本国内や各国の展覧会に出品され、多くの賞を獲得してきた。たいへん新鮮なイメージを与える彼の創作手法も、各メディアから大きな注目を浴びた。彼の最もよく知られた創作法はモンタージュの手法を借用したもので、すでにある印刷物の色を新たに組み合わせて配列し、新しいアート作品を創作するというものである。


市川の作品の多くは、誰でも知っている有名な作家の作品を元にしており、これらの作品を構成しているものは、ごくごく普通の漫画や写真などである。この俗と雅の間の微妙なバランスが、人々を驚嘆させずにはおかないのだ。材料とオリジナル絵画はすでに用意されているが、ただの印刷物をどのように寄せ集めて名画にするかを考えるのは簡単なことではない。市川は創作をする時、自分の頭の中でまず計画を立ててから、直接印刷物を切って並べていくという。


2月22日から3月4日まで、東京都武蔵野市吉祥寺のArt Center
Ongoingで、市川の「百景借景」という作品展が開催されている。今回は彼の創作した葛飾北斎・歌川広重の名画が出品されている。創作に使用した材料は、何とすべて「エロ本」から取ったものだという。市川は世の中の人々が感じる「俗なもの」と「雅なもの」を完全に融合して、圧倒的な視覚の衝撃を与えてくれるのだ。明後日(3月4日)は展覧会の最後の一日である。市川自身も鑑賞者たちと一緒に、彼の創造的アートについて大いに語る予定だ。この得がたい機会を是非逃さないように!













写真提供:市川健治

市川健治展《百景借景》・Art Center Ongoing (アートセンター・オンゴーイング)http://www.ongoing.jp/
 
ウタマロケンジ  http://www.gathering-art.com/