命について、愛について | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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「9.11」と「3.11」について、心に浮かぶのは「災難」「悲しみ」などの否定的な言葉が多いだろう。この二つの出来事は、魂の底から泣き叫ぶ嗚咽のように世界中の人々の心を切り刻んだ。そして今、我々がこの二つの悲しみに満ちた日々を思い返す時、心に浮かぶものは一体何だろうか?

12月1日、東京のアップリンクファクトリーで二つの事件を題材とした三つの映画の同時上映が行われた。タイトルは『Fragment』×『大津波のあとに』『槌音』である。3人の監督たちは、異なる視点から命について、愛について、再び深く考えさせてくれた。『Fragment』では、主人公の井上が自分の家の寺を継ぐ前に、一人で9.11後のニューヨークを訪れる。そして帰国後、「修法師」となるための苦しい修行を開始する。……一人の僧侶が、大きな歴史的事件の中で自分と向き合い「魂の旅」を経て、成長していくのだ。


「大津波のあとに」と「槌音」は、東日本大震災の二週間後に被災地で撮影された。「大津波のあとに」の森元監督は、宮城県の仙台、東松島を経由して友人の住む石巻を訪れる。監督のレンズを通して、あの驚天動地の災害で生き残ることができた人々の様々な人生を知る。「槌音」の大久保監督は、自分の故郷である岩手県大槌町を舞台に、津波の前と後の変貌振りを映し出す。静かな映像が心を揺さぶる。


この3作品の中で、最も独特な視点を持つのは佐々木誠監督の『Fragment』である。「9.11」を背景に一人の僧侶の成長過程を描いており、芸術性と記録性を共に持つ作品だ。もちろん人の感じ方はそれぞれ違っているので、一つの芸術作品に対する解釈もまちまちである。だが佐々木監督の『Fragment』はアメリカ、ドイツなど各地の上映も含め5年以上のロングランを記録している。これは、この作品が人々の共感を呼んでいることを意味しているのではないだろうか。11月19日よりロードショー公開された『大津波のあとに』『槌音』は連日満席で、来年の1月7日(土)からアップリンクXにて、1週間追加上映される、モーニングショーが決定した。『Fragment』、また『大津波のあとに』も『槌音』も、映画館に足を運ぶだけの価値がたっぷりある。魂の叫びが我々の心の深いところで共鳴した時、命について、愛について、もう一度考えるきっかけになればと思う。













写真提供:佐々木誠

アップリンクファクトリー/『Fragment』×『大津波のあとに』『槌音』 http://www.uplink.co.jp/factory/log/004190.php
 『Fragment』 http://fragment-movie.com/ 『大津波のあとに』『槌音』 http://fartheron.soragoto.net/