赤の画家・笹尾光彦展SASAO2011 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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まだ夏の気配が残る9月初め、赤の画家・笹尾光彦展SASAO2011が新宿伊勢丹アートギャラリーで開催された。Bunkamura Galleryを中心に個展を重ね、新宿伊勢丹では初めての個展となった。会場は華やかに描かれたSASAO氏の一際色彩豊かで、さらには軽妙さも併せ持った絵がセンスよく、見るものの動線や見やすい高さにまで気配りされ飾られていた。


パリをこよなく愛するSASAO氏は、パリの花屋の店先、バラ、そして小物や本、雑貨などを一枚のキャンパスに描く。中でも一つとして同じものがないパリの花屋の絵に「パリそのものを表現できたらいい」と語る。「花のある風景」をテーマにした作品は、類を見ない独特で堂々とした赤がまず見る人の目を魅了する。また、今年の初夏にパリへ訪れたときに立ち寄ったカフェでの一コマが新シリーズとなり、「A Cafe in Paris」を今回発表した。会場に足を踏み入れた瞬間、まるでパリにいるような優雅で高貴な気分にしてくれる。


SASAO氏は静岡県出身。多摩美術大学卒業後、大手印刷会社デザイナー、外資系広告代理店のクリエイティブディレクター、副社長を務めた。ある日、近所に無造作に捨てられていた額縁を見つけて、その時に夫人がかけてくれた言葉「この額に合う絵を描いてみたら?」この言葉をきっかけに、後に画家として旋律のデビューを果たす。SASAO氏にとって愛妻の存在はとても大きい。

そんな愛妻を想うかのように描かれた花やコーヒーカップは、なんとも嬉しそうにキャンパスの中で息をしている。それは、そのものをことに好み、安らぎを与えてくれるものたちを愛おしみながら過ごす毎日の営みの中に添えられた、SASAO氏からのささやかな感謝のメッセージのようだ。今の世、本当の「豊かさ」とは何か?この問いの答えを探しているように思う。それはまず自らに誇りを持ち、取り巻く環境に対し感謝をすることで芽吹き、そしてその感謝する心で、相手を思いやり気持ちを伝えていくことで、空高く成長していくものなのかもしれない。

Photo by 北村優希

SASAO公式サイト http://www.alaya.co.jp/sasao/