動画で学ぶ原発事故 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

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東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

地震、津波、原発事故と、相次いで起こった災害。3月11日から人々の心にかかる暗雲は、いつになったら去ってくれるのだろうか。だが、不安と恐怖におののいていた人々の心も徐々に安定して冷静になり、さらにはユーモアをまじえてこの災難に立ち向かっている人々もいる。ここ数日、「おなかがいたくなった原発くん」という動画がネットで人気を呼んでいる。このユーモアいっぱいで分かりやすい内容の動画は、アップロードされてからあっという間に100万回以上再生され、たちまち英語と中国語の字幕がつけられた。


動画の長さは4分34秒である。「原発くん」は地震の影響でおなかが痛くなり、「うんち」をもらしそうになっている。他の人が臭いといけないので、彼は一生懸命我慢しているが、我慢できなくて何度も「おなら」をしてしまった。だが、このおならの臭いは遠いところではにおわないし、2週間ぐらいで消えてしまう。しかも、「原発くん」はオムツをしているので、「うんち」をしてもそれほど恐くはない。


動画にはさらに、「スリーマイル島くん」と「チェルノブイリくん」が登場し、「スリーマイル島くん」は大きな「おなら」をしたが、幸い誰にもにおわなかった。「チェルノブイリくん」の方は、教室で「うんち」をしてしまい、そのまま走り回ったので、教室中の人が災難に遭ってしまった。「原発くん」がうんちをしないように、お医者さんがひっきりなしに海水とホウ素で作った薬を彼に飲ませている。お医者さんも「原発くん」に近づきすぎると「おなら」に遭う危険があるので、「原発くん」の治療をしているお医者さんはとても偉大なのである。


この動画の製作者はアーティストの八谷和彦さんである。彼はインタビューにこう答えている。「原発事故で私の子供も恐がっていますが、彼はテレビや専門用語ばかりの新聞が理解できません。多くの方もそうではないでしょうか?そこで、簡単な方法でみなさんに原発の危機を分かってもらおうと思ったのです。」私はふと、2003年の中国の「SARS」危機を思い出した。人を不安にさせるニュースが飛び交い、私も恐怖の中で1ヶ月を過ごした。その後、ちょっと変わったメールを受け取った。そこには、三国志の曹操が攻撃を受けて典韋に助けてもらった時に言った言葉、「非典、吾命休矣」(典韋がいなければ私は命を失っただろう)が書かれていた。中国語で「SARS」は「非典(非典型性肺炎)」と言う。「非典」と曹操の言葉をかけたメールに、私の緊張した気持ちが解けていった。事故に対して観点を変えて見ることができる時には、事故がもたらした恐怖の気持ちはすでに和らげられているのかもしれない。被災地のみなさんが、1日も早く元の生活を取り戻されますように。


Youtube「おなかがいたくなった原発くん」 http://www.youtube.com/watch?v=5sakN2hSVxA&feature=player_embedded