奥山の大木、里にくだりて神となる。諏訪大社「御柱祭」 | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

山から切り出された「御柱」が、最大傾斜35度の急坂を、人を乗せて滑り下り、凍える雪解け水の溢れる川を渡り、諏訪大社を目指す。諏訪大社は長野県の中央に位置し、東国第一の軍神として、源頼朝・武田信玄・徳川家康ら多くの武将たちの崇敬を集めた。現在では、日本全国に1万社以上の分社があるといわれている。


御柱祭は、7年ごとに1度行われる祭で、「日本三大奇祭」の一つともいわれる。重さ10トンを超える巨木を山から切り出し、20キロあまりの工程を人力のみで曳いていき、社殿の四隅にある御柱を建て替えるまでをいい、その起源は記録に残る限りは、804年桓武天皇の時代にまで遡る。現在でも、地元の氏子20万人以上と、訪れる観光客がこぞって参加し、熱中する一大行事である。


4月2~4日に行われた、祭の前半「山出し」の見せ場は、人を乗せたまま急坂を下る「木落とし」だ。数万人の観衆を前に、坂の上から徐々に姿を現す御柱。木遣りとラッパで心を一つにし、大勢の若衆を乗せたまま、御柱を一気に急坂へと落とす。合図に合わせ、他の氏子たちとともに綱を曳くと、御柱は左右に揺れながら勢いよく坂を滑り落ちる。沸き起こる拍手と歓喜の声で、あたりは熱気と興奮に包まれた。


続いて、御柱を川の雪解け水で洗い清める意味があるといわれる「川越し」。水温10度以下の身を切るような冷たい流れに、まず旗を掲げた若衆が飛び込み、続いて、御柱が豪快な水しぶきとともに水に落ちる。皆ずぶ濡れになりながら御柱とともに川を渡る姿はまさに壮観。私も氏子の1人として7年振りに綱を曳いたが、この感覚は他では決して味わえない特別なものだ。


5月2~4日には、祭の後半である「里曳き」が行われる。境内に曳きつけた御柱を社殿の四隅に立てる「建て御柱」で、祭はフィナーレを迎える。ここでも御柱が人を乗せたまま徐々に角度を上げていき、最後に垂直となる様は圧巻だ。7年に1度の天下の大祭、ぜひ体感してみてはいかがだろうか。



「御柱祭」公式サイト http://www.onbashira.jp/ (日・英)