昨年のベストセラー | 「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

「週刊・東京流行通訊」公式ブログ

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

日米両国で政権交替が起き、新型インフルエンザが猛威を振るった2009年は、世界規模の事件が次々に発生した。このような時代背景の中で、日本の読者たちが興味を持った本はどのようなものだったのだろうか。

予想されていたとおり、総合第1位の栄冠に輝いたのは、村上春樹が7年の沈黙を破って発表した長編小説「1Q84」(新潮社)であった。この本は発売されると同時に、供給が需要に追いつかないという状況になり、小説の中に出てくるクラシック音楽CDの売上げも好調であった。「1Q84」は一種の社会現象となり、上下巻の総販売数は224万部に達した。既に村上春樹は続編の執筆に取り掛かっているとの噂もあり、「1Q84」熱は今年もまだまだ続きそうである。

他の追随を許さないこの傑作以外で注目されたのは、漢字や日本語、そして健康に関わる実用書であった。出口宗和の「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(二見書房)(総合第2位)は115万部、5月に発売された第2弾も24万部売れた。蛇蔵&海野凪子の「日本人の知らない日本語」(メディアファクトリー)(第5位)は65万部、山本千尋の「バンド1本でやせる!巻くだけダイエット」(幻冬舎)(第6位)は110万部を超えた。齋藤真嗣の「体温を上げると健康になる」(サンマーク出版)は第10位であった。

一方、ゲーム関連の本が6冊、総合20位内の狭き門に入り、前作から5年をおいて発売された「ドラゴンクエスト」の攻略本は、総合部門第3位であった。連載作品と書き下ろしから構成される湊かなえの「告白」(双葉社)は70万部で、2009年度の本屋大賞を受賞している。

出版科学研究所の綾部研究員は、教養関連の書籍やケータイ小説、血液型の本などの売れ行きが好調な理由について、明確ではないが社会情勢と関係があるだろうとしている。テレビ番組で取り上げられるということも日常生活や健康に関した実用書が売れる理由の一つであろう。しかしベストセラーになる理由を分析しても、よく売れる本を作ることは非常に難しい。2009年(1~10月)の書籍の販売額は7268億円で、前年の同時期に比べて3.9%減少している。今年は、出版界に衝撃をもたらすような、世間の注目を集める素晴らしい作品が数多く登場することを期待する。

2009年度ベストセラー http://www.honya-town.co.jp/hst/HT/best/year.html