普段からGoogleマップを使っている人なら、丸い水滴のような形のピンクのピン表示はおなじみだろう。なんとあのピンがパソコンの画面から飛び出して、東京・築地本願寺に出現した。この実物のピンは高さが4メートルもあり、ディスプレイで見慣れたものに比べて圧倒的に大きいため、視覚的なインパクトも絶大だ。
築地本願寺は東京都中央区にある、京都の本願寺の別院にあたる。仏教の浄土真宗の寺でありながら、その建築はまったく仏教寺院らしくなく、むしろイスラム寺院のように見える。しかもそこから流れてくるパイプオルガンの音色には、キリスト教の雰囲気も感じられる。築地本願寺は有名な建築史家である伊東忠太の傑作で、設計に当たってインドのイメージを用いたと言われている。ここでは最近、さまざまな楽しいイベントが開催され、人気を集めている。
さて今回、突然現れた巨大なGoogleのピンは、著名人によるGoogleマップ「わたしの好きな場所」という企画にまつわるイベントだ。東京、香港、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリなど13の都市で、200人もの現地の著名人がお気に入りの場所を推薦する。このイベントの目的は、著名人のGoogleマップを閲覧することによって、ユーザーにGoogleマップの使い方を理解してもらうということにある。日本では、森美術館館長の南條史生さんや、本メルマガでもご紹介したことがあるロボットデザイナーの松井龍哉さんら22人が参加している。築地本願寺にピンを立てたのは、建築家の平田晃久さんである。
関連イベントとして、JRの渋谷駅、恵比寿駅など、東京の主要駅にもGoogleピンが設置された。ピンの中心の穴をのぞくと、著名人が自分のお気に入りの場所を解説するビデオを見ることができる。このビデオは、YouTubeの公式チャネル「Favorite Places」でも視聴が可能だ。日常生活でGoogleに出会い、現実生活の中で見慣れたピンを見ると、楽しい気分になると同時に、ちょっとその場所に行ってみたいという気持ちも起こるかもしれない。なかなかユニークな企画と言えるのではないだろうか。このイベントは、9月末まで行なわている。
|