今日からしばらくは、私の好きな手塚作品の名場面・名ゼリフを紹介していきます。まずは、『人間昆虫記』のこのシーン。こうして一場面だけ切り取ってみてもハッとさせられる、そんな示唆にとんだセリフが多いのが、手塚作品の魅力です。
<シーン説明>
他人の才能を吸い取り、文化人としての地位と名誉を手にした野心的な女。そして、彼女に踏み台にされた男…。男が女に言う。
「俺はきみの生きかたをとやかくいわない。虚構と模造の上に組み立てられたきみのバイタリティーにはかえって脱帽するよ…
そりゃあおれだって一時は心がむかついたさ。だが…
つぎにきみがあわれになり……ひたすら現代を生きぬこうとする努力に むしろいとおしさを感じたんだ。」
このセリフ、圧倒的なリアリティだ。