タイの公立学校は二学期制だが、新年度は5月からスタートする。
タイで日本語教師デビューすることになった僕も、それに合わせてタイへ渡った。
日本がゴールデンウィーク真っ只中のときに、国外組と一緒に出国しなければならない。
空路で入国した場合、30日間の滞在許可が下りるが、その間にビザ申請に必要な書類を揃えなければならない。
タイ人教師達も4月いっぱいは休暇中なので、あまり早く入国してしまうと、書類作成が間に合わず、一度国外へ出なくてはならなくなる。
だから、航空券は少し高くつくが、5月に入国し、(本当はダメなのかもしれないが)ビザなし状態で働きはじめる。
たいていの場合、30日のリミットぎりぎりで書類が出来上がり、それを持ってラオスのタイ領事館へ行き、ビザを発給してもらう。
僕はわけあって、2年目も同じようにビザを取りなおしたが、2回とも万事うまくいった。
5月末にラオスへ行くときには、すでに通常時間割がスタートしているので、2日間(場合によっては3日間)の自分の持ち授業はキャンセルになってしまい、生徒を遊ばせることになる。
でも、ビザがなければ、そもそもタイにいられないので、こればかりは仕方ない。
こうして、ビザ申請が無事に終わり、また学校に戻ってくるが、まだ終わりではない。
ビザ期限は、最初90日しかない。
90日経過する前に、今度は最寄りのイミグレーション・オフィスへいかなくてはならない。
ビザ申請のときと同様の書類に加え、労働局で発行してもらう労働許可証を持って、一日がかりの旅行をしなければならない。
イミグレで、無事にビザの延長手続きが完了して、やっと胸をなでおろすことができる。
1学期は20週あり、5月から9月までが前期だが、ビザ取りでバタバタしている間に中間テスト、ビザ延長が終わったと思ったらすぐ期末、そして成績評価という具合だ。
初年度は誰でも、わけのわからないうちにドタバタと時間が過ぎ、気づいた時には学期が終わっている、といった感じだと思う。
生徒には酷な話だが、タイに来たばかりの新米日本語教師がまともに生徒を評価できるわけがない。
まだ生徒の本名もわからないし、なんとなくどのクラスにどんな子がいるかがわかっただけで、授業の進め方もよくわからず毎回必死にやっているだけだ。
とりあえず初めは皆、平仮名から教えると思うが、週に一回の授業を十回ほどやったところで、ひらがなを読めるようになる子なんて、そうそういない。
だから、テストなんてやっても形だけで、あまり意味がない。
クラスにいる何人かの優秀な生徒の答案をみんなが書き写して終わりだ。
タイを知らない日本人は皆、その光景にびっくりする。
タイの生徒たちは、あまりにも堂々とカンニングする。
テスト開始からおとなしくしていた生徒が後半になって急に活発になり、一生懸命他人の答えを書き写して、堂々と提出する。
もちろん、そんな平仮名は日本人が読めるような文字ではないので、すぐわかるのだが。
こうして、最初の学期は幕を閉じる。
最後に成績評価という課題が残っているが、よくわからないので、適当にやるしかない。
ここまでやってみて、やっと2学期の目標とビジョンが描けるようになる。