タイの中学生・高校生日本語コンテストで全国大会に出場すると何かが変わるのか。

 

実際に生徒を全国大会に送り出した人に話を聞く機会があった。

 

その人は、タイで10年近く日本語教師として働いている人で、コンテストの審査委員なども務めている人だった。

 

彼の学校では、毎年多数の日本語コース入学志願者がいて、選抜試験で合格した生徒だけが週6コマの日本語授業を受けられる。

 

今や全国大会の常連校として認知されている学校だが、そうなるまでにはいろいろと苦労もあったらしい。

 

しかし、初めて生徒が全国大会への切符を勝ち取ってから、状況は一変したという。

 

日本語コース設立は、教員、設備、教材など、結構な予算がないとできるものではない。

 

だが、コンテストで全国出場する見込みがあるとなると、予算が下りる。

 

噂を聞いて、生徒も集まる。

 

また、コースを設立しても、優秀な生徒が入ってくれないと結果を出しにくい。

(僕が赴任した学校のように、日本語コースを作ったはいいが、学習意欲のない生徒の集まりでは授業が進まない。)

 

コンテストで優秀な成績を収めることは、その生徒本人だけでなく、学校の名誉だ。

 

タイの中高学校には校区がないから、有望な学校に生徒が集まる。

 

生徒が集まれば予算も増え、設備や人件費に投資できる。

 

そして有名校として他の学校との差が広がっていく。

 

僕の学校にも日本語コースはあったが、生徒をコンテストに出場させるレベルまで育てることができなかった。

 

選択科目で日本語を学ぶ中学生のなかには、有望な生徒が何人かいた。

 

彼らが高校に上がるときに日本語コースに入ってもらうためにも、日本語で成功するイメージを持たせ、評判を上げたいところだった。