キャベツ畑で待ち合わせ | 木下哲のブログ

キャベツ畑で待ち合わせ

突然ふいた強い風に

私はバランスを崩して
イスから転げ落ちそうになった

その風は少し黄ばんだ色をしていて

南風の匂いが混じっていた

不思議だ

だって
今は冬の真ん中なんだ



少し小高い丘の上

キャベツ畑のバス停では
年中

色んな風が吹いている


色んな色をした風が
何回も
何回も

バス停のイスにぶつかって

バス停のイスなんかは

この場所だけの色彩を
人間の目にも映るように
具現化してくれていた



すぐそこの階段を登ると
そこには
赤いレンガの家が取り壊された跡地があって

その隅には
大きな動物が掘ったかのような

5歳児がすっぽりはまりそうな穴がある

そして
クローバーだったり
イヌフグリだったり
ハルジオンだったり
たくさんの
雑草が
季節によって姿を変えて
「生」を営んでいる


へい

らっしゃい



そう

キャベツ畑のバス停と言っても

広々とした畑が広がってるわけでは無いんだけど

たったひとりの老人が
世話をしている

こじんまりとした

でも
ソレはソレで
素敵な色彩を放っている場所だ


バス停のイスに座って
丁度
キャベツ畑のほうを見ると
キレイな町並みが遠くまで
広がっていて

いくつも公園が見える

その公園では
子供たちが遊んでいたり
老人がイヌを連れて
ベンチに座っているのが見える


まさに小説みたいな景色

小説を読んだ時に脳裏で浮かべるような景色が広がってるのだ




キャベツ畑のバス停では
誰かを待っているような気分になる


一体どこのどなたを待っているんだろう

時々自分で自分がおかしくなって笑いそうになるけど


まあ

それでも
待ってみようかな


なんて
思ったりして

ジッと

野菜たちを見つめてるのだ




これはキャベツ?

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