ただ白い菊だけが | Acoustic Note*

ただ白い菊だけが

たった一週間しか経っていないの。

私が、みんなが日常に戻っている。忙しい。
そんなものなんだろうか?
きみが、他の寮生のように引越していったようにしか思えない時がある。

現場にいた、泉たちでさえ、そういう感覚があるのらしい。
お母さんは崩れ落ちそうに彼の名前を泣き叫んでいたのが痛々しくて、
悲しくて、仕方なかった。
多分、22年経っても変わらずに悲しいのだと思う。彼らだけは。
その記憶だけが鮮烈で、彼がいなくなることに大して強烈なイメージは薄れてきた。
まだまだ、現場を望むトイレに行くのは怖いのだけど、悲しみは薄れてきている。
私が薄情なの?
それともこういう風に他人は生きていくものなの?


ただ、玄関先の(式場からもらってきた)白い菊だけが、あの日を示していて。
その菊も枯れてきていて。
早く、片してほしいなって心の片隅で思う私もいて。