『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

 

                     

                   架空ポップカルチャー・マガジン

                       『Adieu Romantique』No.3

          ~特集 : ここではない何処かへ  EXOTICA~

     

今回の表紙もChat GPTにデザインしてもらった訳だけど。マーティン・デニーのアルバム『EXOTICA』のジャケをベースに、僕の頭の中にある「EXOTICA」のイメージをコラージュで表現してもらうのがなかなか難しかった。Chat GPTとやり取りしている内に(後でそのオリジナル・ジャケも出てくるけど)アルバム『EXOTICA』のモデル、サンディ・ワーナーの顔が微妙に面長に。訂正しようとしたものの、生成AIという特質上なのか、うまくいかなくて。だけどサンディ・ワーナーに見えないことはないし、『EXOTICA』の別撮りのバージョンみたいで(彼女は髪型や化粧でまるで別人みたいに変わるし)これはこれで面白いと思ってUPすることにした(何だか「生成AI奮闘記」みたいになってるじゃないかぁーおーっ!)。
 
『特集:ここではない何処かへ 「EXOTICA」』
 

「EXOTICA」。それはハワイの音楽家、マーティン・デニーが1957年にリリースしたアルバムのタイトルであり、デニーの音楽に限らず、目を瞑って聴いていると「ここではない何処かへ」【To Somewhere Beyond Here】連れて行ってくれる、そんな音楽のこと(或いは、写真やアートなどの視覚的なものからも「EXOTICA」が漂ってくることもある)。そして僕の中にある「EXOTICA」は、ちょっぴりチープなんだけど、何処かゴージャスな、という矛盾を孕みながら、湿気を帯びた熱帯の空気が漂い、何処か官能的でノスタルジックで、時間や空間を飛び超えるような感覚のことでもある。特に難しいことを書こうと思っている訳ではなく、今回の『Adieu Romantique』は、慌ただしい毎日から、つかの間でも抜け出すための旅【A Journey In Images To Elsewhere】の特集。

 

さぁ、イメージの翼を拡げて、自分だけの「ここではない何処かへ」旅立とう。

 

音譜まずはそのマーティン・デニーのアルバム『EXOTICA』から、そのオリジナル・ジャケと、今回の特集のテーマ曲とも言うべき『Quiet Village』『Jungle Flower』を。どこか作りモノ臭く、ジャンル温泉の雰囲気を漂わせているところもいい感じ。

 

 

音譜マーティン・デニー『EXOTICA』の続編とも言うべきアルバム『EXOTICA VolumeⅡ 』から『When First I Love』。ジャケのモデルは同じくサンディ・ワーナー(同じモデルとは思えないよね)。この2枚以外でもデニーのアルバムのほとんどのジャケには彼女が登場する。

 

 

📖図像学、民俗学、博物学を同じ線上で取り上げる、偉大なるオタク博士、荒俣宏1987年に刊行した、現存する生物や絶命した生物、想像上の生物までをとても美しい図版で魅せてくれる、驚異の著作『世界大博物図鑑』シリーズ(監修ではなく、「荒俣宏 著」と書かれているところが凄い。そう。ひとつひとつの解説を始めとして、すべてをひとりで書いている)の中の一冊『世界大博物図鑑④【鳥類】』。熱帯の、色彩豊かな鳥のページを眺めるだけで「EXOTICA」のイメージを鮮やかに浮かび上がってくる。
 
 
📖シリーズは「蟲類」「魚類」「両生・爬虫類」「鳥類」「哺乳類」の全5巻(これに「植物」が加わっていれば完璧だったかも)。段ボールのスリーブに包まれた豪華な本であり、今は普及版も出ているけど、もちろん僕は全部オリジナル版で揃えた。
📖因みに。荒俣宏は他にもたくさん面白い本を書いている。例えば、ハワイを舞台にした小説地球暗黒記(全3巻)ひとりの女子高生が(ハワイの)見えない力に導かれていく冒険譚であり、熱帯伝奇小説でもある。文庫なので「ここではない何処かへ」の旅のお供にぴったりか、と。

 

音譜現代のマーティン・デニー(と、僕はそう思っている)、

テッド・フェイガンのソロ・ユニット、モンスター・ラリー【Monster Rally】のアルバムは音楽はもちろんだけど、テッド・フェイガン自身のコラージュによる「EXOTICA」なアート・ワークも素敵過ぎて。

🎨アルバム『Menagerie』のアート・ワーク。
🎨これは2013年リリースのアルバム『Return To Paradise』のコラージュ。
音譜アルバムから『Orchids』『Palm Village』を。

 

🎨2019年のアルバム『Adventures On The Floating Island』のコラージュ・ワーク。

🎨アルバムの中の曲Noché Peligrosoが静かに流れてくる。

🎨今年リリースの最新アルバム『Echoes Of The Emerald Sands』では、いろんなミュージシャンやシンガーたちとコラボレートしていて楽しい。

音譜アルバムの中から『Holiday Haze』ft.LEISUREと、メイ・シモネス【Mei Semones】とのコラボレート曲『Your Old House』

 

 

音譜ブルース・ギタリストだったマイク・クーパー【Mike Cooper】のアルバム『Rayon Hula 』はとてもCoolなサウンドによる「EXOTICA」。エレクトリック・ミニマル・ハワイアンな曲『Kokoke Nalu』と鳥の囀りとグリッヂ音(=ノイズ)が涼しげなMele Manu ~ Ho'o manau nui』

 

 

 

音譜マーティン・デニーと並ぶエキゾチック音楽のレジェンド、アーサー・ライマンの曲からインスパイアされたWave Temples のアルバム『Taboo Ⅱ』から。ビヨ~ン、ビヨ~ンって鳴ってるだけの不思議な曲『Bikini Oracle』

 

 

音譜僕の大好きなバンド、フラミンゴッズ【 Flamingods】の、2016年リリースのアルバム『Majesty』 から『Majestic Fruits』。音楽も面白いし、ジャケも最高だよね。

 

 

音譜AYALA  のモダン・エレクトリックなエキゾチック・アルバム『AMERIGO』から『 SAMUI 』

 

 

音譜クラン・カイマン【Clan Caimánの、妖しすぎるアルバム『Pica-Pau』からTulipán Song

 

 

音譜アウンティ・フロー【Auntie Flo】のアルバム『 Quternational Dance』から『Esperanto』

 

 

音譜EXOTICAリバイバルを標榜したBo Axelzon&His Exotic Sounds による1996年リリースのアルバムから『Salamente Una Ves』。ジャケはマーティン・デニーのアルバムに寄せてるんだろうけど、微妙に中途半端な感じに。

 

 
音譜『EXOTICA』のイメージからは少し外れるけど。イタリアB級(C級?)映画『Nella Misra In Cui』の、August Martelli によるオリジナル・サウンド・トラック(ジャケが素敵だよね)から『Joining Together』。変てこなディスコ・サウンドが妖しく、エキゾチックに響く。

 

 

🎨サンダ・アンダーローン【Sanda Anderlon】EXOTICA and Resort meets Party People なコラージュ。とにかく彼女が創り出す「ここではない、何処でもない世界」は、ほんとイマジネイティヴでワクワクするほど面白い。

 
 
 
 
 
 
音譜日本のマーティン・デニーであり、日本の「EXOTICA」の王様は、というと細野晴臣になるのかなうーん。細野さんの「エキゾチック3部作」の最後のアルバムであり、横尾忠則の「EXOTICA」なアート・ワークが素晴らしい1978年リリースのアルバム『はらいそ』【PARAISO】からタイトル曲を。

 

 

音譜細野晴臣は1970年代末にドイツのクラフトワークの音楽や、ジョルジオ・モロダーディスコ・サウンドに影響を受けつつ、昔からずーっとリスペクトしていたマーティン・デニーの音楽をデジタルで再構築することを思いつき、それをサウンド・コンセプトにしてYMOを結成した。何という斬新な発想か、と(当時の経緯や細野さんの思考の変遷は、細野さんが初めて書いたエッセイ『地平線の階段』に詳しい)。それじゃぁ、YMOのデビュー・アルバムの中からマーティン・デニーの曲のカヴァー『ファイアー・クラッカー』を。

 

 

音譜変化球を。70年代末に登場した、ジェネシス・ピーター・オリッジ率いる、変態性とPOPさを不自然にMixtureしたカルト的なノイズ・グループ、スロッビング・グリッスル【Throbbing Gristle】のアルバム『Greatest Hits』からテクノ・ポップな曲『Hoton The Heels Of Love』。音楽も不穏な感じだし、『EXOTICA』を(多分)模倣したジャケも異様な雰囲気が。モデルはバンド・メンバーのコージー・ファニ・トゥッティ

 

 
音譜マーティン・デニー細野晴臣YMOの流れの中から登場した、中西俊夫率いるウォーター・メロン・グループ『Cool Music』から。主演のメリナ・メルクーリが歌い、1961年のアカデミー歌曲賞(作曲はマノス・ハジダキス)を受賞したジュール・ダッシンのギリシャ映画『日曜日はダメ』【Never On Sunday】のカヴァー。
 

 

音譜プラスチックスメロンウォーターメロン・グループを経て中西俊夫工藤昌之らと結成したGroup of Gods『Beyond The Jungle』。当時、彼らは自らの音楽を「なごみもの」と呼んでいた。

 

 

音譜東京大学の学長を務めたこともある文芸評論家であり、映画評論家であり、小説家でもある蓮實重彦を父に持つ蓮實重臣三宅剛正が結成したパシフィック231 (ユニット名はフランス六人組のひとり、アルチュール・オネゲルが作曲した曲のタイトルからの引用)のアルバム『Tropical Songs』から『Jewels Of The Ocean』
 

 
音譜昔の日本~沖縄~八重山~台湾の歴史や文化を伝える歌者、大工哲弘の、音楽レーベル「off note」からリリースされた2CDアルバム『蓬莱行』は、桑本正士が撮った写真を使ったジャケも含めて、「Exotic」な雰囲気が濃厚に溢れた傑作。CD1が「太平音楽 Exotica~Birth Of Pan Pacific Music」、CD2が「蓬莱行 Exodus~Pai Patirohma」とそれぞれのコンセプトでタイトルが付けられていて「EXOTICA」好きの心をゾクゾクさせてくれる。但し、アルバムからの曲はほとんどUPされていないのでジャケだけ。
 

音譜じゃぁ、それならということで。「off note」の出発点であり、第1弾のアルバムとしてリリースされた大工哲弘『Okinawa Jinta』のオープニングを飾った『マクラム鉄道』。沖縄音楽と中尾勘二関島岳郎らによるブラス音楽がMixtureされた、不思議なムードを湛えた音楽は、あのソウル・フラワー・ユニオンにも影響を与えた。

 

🎨狩野派の影響を受けた、江戸時代中期の天才画家、伊藤若沖が描いた、いくつかの作品もまた無国籍な「EXOTICA」を漂わせる。コラージュ的な感覚で描かれた『鳥獣花木図屏風』
🎨同じく『樹花鳥獣図屏風』
🎨シュルレアリスムを先駆けているような作品『旭日鳳凰図』
 
🎨それなら、自身の恐るべきイマージュをデカルコマニーフロッタージュといった技法を駆使して「ここではない何処か」の風景を描いたシュルレアリスム絵画の王、マックス・エルンスト【Max Ernst】のエキゾチックな大作『雨後のヨーロッパ』も。
🎨同じくマックス・エルンストの作品『沈黙の目』
 
🎨日本の現代アーティスト、大久保如彌【Naomi Okubo】が描いた絵も「ここではない何処かへ」連れて行ってくれる独特の世界。
 
 音譜彼女が描く世界は「EXOTIC」な感じはあるものの、「楽園」的というよりは、どこか「桃源郷」的で「ユートピア」的。そんな彼女の絵にぴったりだと思う音楽、ついのすみかの、1991年リリースのアルバム『Sacra』から『南冥行~蘭の舟~ケシの花』も。

 

 

 

 🎨彼女のコラージュ作品も。
 

音譜トラックメイカー、DJとして活動するドリアン【Drian】の2013年のアルバム『Midori』から『Lost Seasons』。日本人がこういった「Exotic」音楽のクリエイティヴに優れているのは、何処かに細野晴臣の影響があるからじゃないのかなうーんと思ったり。

 

 

【📖今週の一冊】
 

 今回はすでに何冊か紹介しているけど。「EXOTICA」のイメージとは少し異なるものの、それほど遠くはないニュアンスを持つ、細野晴臣と宗教史学者であり、文化人類学者でもある中沢新一の共著『観光』【SIGHTSEEING】(この言葉から香る匂いが何処かエキゾチック)。この本の流れで。細野さん『花に水』ムーン・ライダーズ『マニア・マニエラ』をリリースしたカセット・ブック・シリーズ「SEED」から矢口博康『観光地楽団』というカセット・アルバムもリリースされている。

 

音譜世界の、あらゆるどこかで音楽が】

 

 ここでは毎週、特集の内容とは関係なく、また時代や国、ジャンル、売れているとか売れていないとか、そんなことを超えて今現在、僕がよく聴いていて、面白いと思う音楽をランダムにPICK UPしている。

 

音譜音楽雑誌『ミュージック・マガジン』(旧『ニュー・ミュージック・マガジン』)を発行した、世界の音楽の評論家でもあった中村とうようがエグゼクティブ・プロデューサーを務め制作し、1991年にリリースされた、19-21 Universal BandによるCDアルバム『ブラスは世界を結ぶ』【Brass Around The World】。アルバム単位でしかUPされていなかったので、ちょっと長くなるけどアルバム全曲を。暗黒大陸じゃがたら(後にJAGATARAに)のメンバーであり、当時、コンポステラを率いていたサックス奏者(ジャズではなくちんどん系や東欧のクレズマーロマ音楽のサックスを吹く)篠田昌巳を中心に中尾勘二関島岳郎やブラジルのミュージシャンたちがコラボレーションした素晴らしい音楽。全曲は聴かなくてもいいけど、できれば1曲目の『ラ・パロマ』だけでもぜひ。とても有名だし素敵な曲だけど、ブラス中心の演奏といい、アレンジといい、僕にとっては最も好きなバージョンなので。

 

 

音譜 何故だか最近、よく聴いている(海外での、日本のフュージョン・ブームと何処かでシンクロしてるのかなうーん)、渡辺香津美の、1979年リリースのアルバム『KYLYN』から『ソニック・ブーム』。彼のギターの音色がただただ刺激的で心地いい。因みに。渡辺香津美は1990年からTVの『夢の乱入者』という伝説の番組でホストを務め、原田芳雄上田正樹桑名正博・晴子中島らも ら、とても面白い人たちと毎回Live Sessionを繰り広げていたことも。

 

 

音譜永井琳子のアルバム『Amayadorazu』『雨宿らず』。若い女の子が Light Mellow な(ちょっぴり、大貫妙子の透明感も)こんな素敵な曲をさらっとリリースしてきて、さらっと出会える、今という時代はほんと面白いと思いつつ。

 

 

音譜とってもカッコいいアフロ・ビートをクリエイトするガーナ生まれのイギリス人クリエイター、ヘイガン【hagan】の曲『Mfantsefo Dance』

 

 

【編集後記】
「EXOTICA」という言葉や、そのイメージについてあれこれ考えたり、妄想してる人が果たして世界中でどれくらいいるのだろか? なーんて。そんなことを考えたり、妄想しつつ「ここではない何処かへ」の旅は終わる。それじゃぁ、また。アデュー・ロマンティーク。