お主は鵺か魑魅魍魎か | texas-no-kumagusuのブログ

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トミオ・ペトロスキー(Tomio Petrosky、日本名:山越富夫)のブログです。

3月22日から25日まで千葉県にある東京理科大学野田キャンパスで開かれている日本物理学会春季大会に参加しております。毎年春と秋の年2回、全国の大学持ち回りでお彼岸ごろ開かれ参加者は毎回4千人を超える大規模な大会です。物理学者は独特な雰囲気があり、ネクタイをしている人など滅多におらず、お洒落に無関心で、一般に身綺麗ですが何と無くバランスが取れていなくて、バックパック姿も多い。同じ業界同士だからなのでしょう、すれ違うと何と無く分かります。

 

理科大の傍には利根川運河が流れており、その土手に菜の花がいっぱい咲いていました。香りが漂って来ているような感じもします。あの霞のような黄色の広がりは、春のモワッとした雰囲気を一際膨らましてくれているようです。

 

  菜の花の色に誘われ気が触れん 恋し恋しと小鳥さえずる 

 

  人の気を触れさす春の黄の霞 

 

なんて言うのは昔のこと、春の眠気を楽しむこの頃です。昔の人は眠気が襲うのはねぶたの神に取り憑かれたからだと考えていたそうで、その眠気払いのお祭りがねぶた祭りになったそうな。

 

ついでに、菜の花の普及は江戸時代の初期ごろから始まり、それまでの日本人の生活を一変させたそうです。菜種油はロウソクよりも安く、また煤もあまりでない。それまで普及していた高価だが臭い鯨油やイワシ油と比べてずっと安く匂いもない。良いことづくめでした。でも、菜種油の普及は一つだけ悪いこともしたようです。平安時代の貴族たちは、この臭いイワシ油の匂いが染み込んだ着物の臭いを消すために、香りで衣を燻す香道を発達させていたそうです。菜種油の普及でその必要もなくなり、香道はよほどの趣味人でない限り嗜む人がいなくなってしまい、香道の衰退につながったそうです。

 

香道では、匂いを聞くと言います。

 

  耳を立て目で物を言い鼻で聞く お主は鵺か魑魅魍魎か

 

近年は、アロマなどとカタカナ文字を使い、そのお洒落なエキゾチックさ故に、スピリチュアル派の女性方に人気が出て来ているようですね。