第2問(配点40点)
A社の現社長(5代目)の経営改革に関連して、以下の設問に答えよ。
(設問2)
A社では、これまで、学校アルバム事業を中核に据えた機能別組織体制を採用していたが、複数の事業間で全社的に人材の流動性を確保する組織に改変した理由を、100字以内で述べよ。
制約条件を見てみましょう
・A社の現社長の経営改革に関連して答える
・機能別組織体制から複数の事業間で全社的に人材の流動性を確保する組織に改変した理由を答える
この設問に対応するには機能別組織のデメリットを知っていなければなりません。
ネットから拾いましょう。本番では頭に入っていなければなりません。
・権限や必要な情報が上層部のみに集中しがちになり、指示に従って作業を行うだけの人員はモチベーションを保つことが難しくなります。組織間の連携のとりにくさも、この構造によく見られる問題点の一つです。
・全体的な視野を持ったゼネラルマネージャーが育たない
機能別組織の一番のデメリットは、それぞれの部門の管理者は一つの職能に精通してくるため、より専門的な知識をもった人材には育ちますが、部門全体を見渡す広い視野を持ち合わせていないことが少なくありません。したがって、それぞれの職能の専門家の育成には向いていても、広い視野で全体の状況を見て総合的な判断を下すことができるゼネラルマネージャー、次期経営者が育ちにくいことがデメリットです。
・責任が不明確
例えば最終的に出来上がった製品になにか原因不明の問題が起こった場合、部門間を超えての統制はとれていないため、責任の矛先をどこかの部門に押し付けようという働きが起こる場合があります。また、原因不明ということはどこで問題が起こっているのかもすぐには特定できないため、対応が遅れる可能性もあります。さらに、業績の評価基準も部門ごとに異なるため、どこが効率的にやれているのかの評価も難しいというデメリットもあります。
・変化に弱い
機能別組織では、事業部制組織に比べ、部門と部門の間の意思疎通が難しいため、例えば営業部が気付いた顧客の要望やニーズを既存製品の改良や新商品の開発をしている開発部に伝えられず、重要な機会損失になってしまう恐れがあります。
また同じように意思疎通がとりにくいことから、急激な市場の変化への対応が遅れてしまいがちだということも特徴です。トップのみに部門を横断する視点がゆだねられているため、後述する、トップへの負担が大きいことや、部門間の調整にトップが貴重な時間をとられることにより、戦略立案や会社の方向性を決めるような意思決定が疎かになってしまうというデメリットがあります。さらに、専門性の高い社員を異動させることで業務の生産性が低下するリスクもあり、社員の異動も実施しにくいという面もあります。
・トップの負担が大きい
機能別組織を採用している企業が複数の製品、サービスを作っている場合に、トップの責任は特に大きくなってしまいます。それぞれの製品に対して製造と営業、製造と開発、または営業と開発の間の調整を行うのはトップしかおらず、強力なリーダーシップが必要になってきます。このデメリットを防ぐために製品別の委員会や、プロダクトマネージャー制度という制度が設けられる場合もあります。プロダクトマネージャー制度とは食品メーカーや化粧品メーカーなど、品目が多い企業で採用されており、企業によって違いはありますが、製品の開発から、その製品の宣伝、販売、流通までの広範囲の権限を与えられる管理者です。
・意思決定に遅れが出る
・組織内の人事交流が停滞する
・マネジメント層が育ちにくい
・各部門ごとの利益責任が不明確
まあ、こんなもんでいいでしょう。
あとひとつ大事なことは、「組織は戦略に従う」、というチャンドラーの言葉です。
第2問設問1で確認した新規アルバム事業はもちろん、その他の複数事業を上手く回せる組織体制を意識しなければなりません。また、第1問では使いませんでしたが多角化が上手くいかなかったのは機能別組織に要因があった可能性も踏まえて回答を考えましょう。
つづく
応援よろしくお願いします。