第1問

 業績が好調であったA社の3代目社長の時代に進められた事業展開について、以下の設問に答えよ。

(設問2)
 1990年代後半になっても売上の大半を学校アルバム事業が占めており、A社の3代目社長が推し進めた新規事業が大きな成果を上げてきたとはいえない状況であった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ。

 

設問文を読んだだけで考えられること

 

 制約条件は以下

・3代目社長の時代に進められた事業展開について答える

・3代目社長が推し進めた新規事業が成果を上げられなかった要因を答える → 弱み・脅威

・考えられる要因 → 仮説でいい

・百字 → 論点3つくらい

 

3代目が推し進めた新規事業の確認

 第5段落にあります。

 1980年代後半、将来の少子化時代の到来やOA(オフィス・オートメーション)化の進展が見込まれるようになると、順調に事業を拡大させてきたA社でも、学校アルバム事業や印刷事業の成長の可能性に懸念を抱くようになり、事業多角化を模索し始めた。3代目社長のリーダーシップの下で、自社企画のカレンダーやメモ帳、レターセットなどの印刷関連のオリジナル製品を開発し、商品見本市などでの販売を開始した。その一方で、自社での社員教育の成功体験や施設を活かすことを目的とした企業研修事業や、工芸教室などの教育関連事業にも参入した。また、当時のCI(コーポレート・アイデンーイティ)ブームの下で、地元のコンサルティング会社と提携して、企業イメージのトータルデザインを手掛けるコンサルティング事業や自らの顧客である写真館の店舗デザインを助言するといった事業を手掛けるようになった。さらに、漫画雑誌やタウン誌を編集し発行する出版事業にも手を伸ばした。もっとも、1990年代後半にあっても売上のおよそ80%を学校アルバム事業が占めていることから、業績伸張の要因は、1980年代後半に立ち上げたそれら事業ではなく、同社が学校アルバム事業を核に蓄積してきた高度な印刷技術を活用した、一般印刷や美術印刷など印刷事業の拡大にあったことがわかる。2000年代になると、4代目社長が他社に先駆けて進めてきたデジタル化によって、時間やコストの大幅な削減が実現された。

 

印刷関連のオリジナル製品を開発し、商品見本市などでの販売

自社での社員教育の成功体験や施設を活かすことを目的とした企業研修事業

工芸教室などの教育関連事業

地元のコンサルティング会社と提携して、企業イメージのトータルデザインを手掛けるコンサルティング事業

自らの顧客である写真館の店舗デザインを助言するといった事業

漫画雑誌やタウン誌を編集し発行する出版事業

以上です。

 特徴とすると、顧客ニーズはあまり考えずに、A社ができそうなことをとりあえずやってみた、という感じですね。A社の強みである「印刷の精度」「印刷の生産性」「印刷の企画力」はあまり活かせないみたいです。技術面、生産面、営業面などのシナジー効果も期待できない感じです。

 

 (経験的な考察はしてはいけないですが)よくある総花的で失敗するパターンです。

 

 ①取り組んだ事業が多岐にわたりすぎて経営資源が分散してしまい競争優位性を構築するのが難しい、②無関連多角化であり既存事業とのシナジー効果も期待できない。

 

 感覚的にはこんな感じでしょうか。より与件文に基づいた回答を作り上げるため、さらに関連すると思われる与件文を見ていきましょう。

 

つづく

 

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