平成28年事例Ⅰ第1問(設問1)の、回答の考察をします。
業績が好調であったA社の3代目社長の時代に進められた事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
当初立ち上げた一般印刷事業などの事業展開によってA社は成長を遂げることができた。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で述べよ。
回答根拠の段落は第5段落でしょう。
「1970年代半ばに3代目社長が、他社に先駆けてオフセット印刷機を導入したのを契機にして、独自で技術開発に取り組んで印刷精度を向上させた。それによって学校アルバム事業を拡大させ、高い印刷精度が求められる美術印刷事業にも参入している。また、社員教育に力を注ぎ、企画力やデザインカを強化・向上させたことで、他社と差別化を図ることもできるようになった。さらに、教育効果を高めるために、198どくじ0年代半ばには、自社所有の遊休地に研修施設を建設し、新入社員研修や従業員の体験学習、小集団活動を積極的に促してきた。」
回答に入れたいワード
・「他社に先駆けて」 → 先行者利得
・「独自」 → VRIOのR(rarity)
・「差別化」 → 差別化戦略
・「それによって学校アルバム事業を拡大させ、高い印刷精度が求められる美術印刷事業にも参入している」 → シナジー効果
・「自社所有の遊休地に研修施設を建設し」 → ハード面(施設面)
・「新入社員研修や従業員の体験学習」 → ソフト面(制度面)
・「小集団活動」 → 組織面
「要因」との指定なので、影響のありそうなものを複数上げる、そして、「考えられるか」とあるので、与件文から類推できる仮説を書きます。
要因の意味の確認
「要因」と「原因」は、さまざまなシーンでよく使われる言葉ですが、意味も似ているためによく混同されます。 一般的には、「原因」は1つしかない場合や1つに特定できる場合に用い、「要因」は複数ある場合や1つに特定できない場合に用います。また、ある事象を起こしたものを「原因」、ある事象に影響のあるものを「要因」と区別する見方もあります。 例えば、交通事故の場合、事故の「原因」は居眠り運転、その「要因」は疲れや睡眠不足などが挙げられます。
また、過去の特定の事象を起こしたものを「原因」、今後ある事象を起こす可能性のあるもの「要因」と区別する方法もあります。 同様に交通事故に例えると、 同じ居眠り運転でも、今回の事故を指す場合は「原因」となりますが、今後の交通事故を起こす可能性は他にもスピードの出し過ぎ・わき見運転など様々ですので、居眠り運転は交通事故の「要因」の1つと言えます。(ズバリ解決!違いガイドから引用)
①他社に先駆けたオフセット印刷機の導入により、生産性を高めるともに、先行者利得を獲得できた。
②独自の技術開発に取組により、印刷精度を向上させ、他社に対して技術的優位性を確立できた。
③施設面、制度面、組織面からの社員教育施策により、教育効果を高め、企画力やデザイン力を強化向上させ、他社と差別化を図れた。
文字数が158字になってしまったので、何を削ればいいのか。シナジー効果も入れたいし、どうしよう。
このあと考えましょう。
つづく。