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 おそらくですが、わざとわかりづらくしている与件文があると思います。特に、わかりづらいのが多いのは、事例Ⅲの受注→生産→納品に関する説明の一連の文章です。

 

 たとえば、平成26年事例Ⅲを下記に掲載しますが、一読で理解できれば天才的です。

【C社の生産概要】
 C社の生産工程は、切削工程、熱処理工程、メッキ工程、検査工程の4工程から構成される。自動旋盤による切削工程では、材料供給を行う設備オペレーターの監視下で24時間稼働による連続生産が行われ、その他の工程では、前日までに切削工程で加工された精密部品を昼間8時間稼働でロット処理している。
 生産計画は、X社から受注する精密部品約100品種の受注数量を基に、設備稼働状況や材料保有状況などC社社内の都合に合わせて1カ月ごとに前月末に作成される。X社からの確定受注数量は、X社顧客からの翌月1カ月の受注予想数量であり、C社へは毎月前月の中旬にFAXで送られてくる。C社では、X社からの確定受注数量を基に、精密部品の各品種1カ月確定受注分を切削工程の各自動旋盤に割り付け負荷調整し、生産計画がつくられている。その他の熱処理工程、メッキ工程、検査工程については、切削工程の加工終了後に各工程担当者の判断で加工順を決めている。X社への納品は月内であればよいことになっているため、生産完了後順次全品納入している。
 生産計画数は、最近増加傾向にある切削工程での加工不良率を加味して決めている。切削工程の加工精度は、自動旋盤の精度に左右される。現在の経営計画には自動旋盤の更新計画はないため、設備オペレーターが故障対応に主眼を置いて、それぞれの経験で行っている自動旋盤のメンテナンスについての対策が必要となっている。
 C社で生産される精密部品に使われている原材料は、特殊仕様品であり高額な材料が指定されている。納期は材料商社に発注後約2週間であるが、月末の在庫数、翌月の生産計画数と翌々月前半の生産予測数を勘案してほぼ2カ月分の必要量が確保できるよう毎月月末に定期発注していて、在庫量の増加傾向がみられる。C社のコストに占める原材料費の割合は高く、上述した切削工程での加工不良率の増加による歩留りの低下傾向とともに問題視されている。
【C社の主要取引先X社の動向】
 主要取引先X社は、精密機器メーカーに精密部品を供給する精密部品加工専門企業として発展してきた。現在は精密部品事業と精密機器事業の2つの事業部を有し、創業時の得意分野であった精密部品の生産は外部に依存し、X社の工場では精密機器の組立、検査、出荷業務が中心となっている。
 X社の精密部品事業部では、国内外顧客約50社から受注される約200品種の精密部品を取り扱っている。X社の主要な顧客からは、大日程生産計画に基づいた3カ月および中日程生産計画に基づいた1カ月の発注情報の内示が毎月あり、確定発注は1週間ごとにある。X社では、納品リードタイム1週間に対応するために品種ごとに在庫を管理している。
 X社の精密部品事業部は、売上高の約半数を海外に依存しており、近年生産拠点を海外にシフトし、部品も現地調達化を進めている。そのため、精密部品事業部では国内発注量の減少が続いている。そこでX社では、精密部品事業部の国内部品調達および物流の合理化計画を進めている。これまで国内調達部品は品種別に分けてC社を含めた国内協力企業数社から調達していたが、この計画では超精密加工と超小型加工技術の評価が高く、必要な生産能力を有するC社1社に集約し、同時にX社の業務コストの削減を狙って、これまでX社が行ってきた精密部品の在庫管理および受注・発送業務もC社に業務移管することが検討されている。具体的には、X社が入手する顧客の3カ月、1カ月発注情報および1週間ごとの確定発注情報をC社とオンライン化し、C社から直接顧客に納品させるものである。また、この業務の移管に伴ってC社に支払う業務委託費についても検討されている。
 この計画が実施されると、受注情報はX社の顧客からの受注情報となり、C社の納品リードタイムは1.5カ月から1週間に短縮され、各品種の1回の受注ロットはX社の各顧客からの1週間分の確定受注数量となり大幅に縮小される。このため、生産システムの大幅な見直しが急務になる。

 

 特に、次の文章がわかりづらいです。

「X社からの確定受注数量は、X社顧客からの翌月1カ月の受注予想数量であり、C社へは毎月前月の中旬にFAXで送られてくる。C社では、X社からの確定受注数量を基に、精密部品の各品種1カ月確定受注分を切削工程の各自動旋盤に割り付け負荷調整し、生産計画がつくられている。その他の熱処理工程、メッキ工程、検査工程については、切削工程の加工終了後に各工程担当者の判断で加工順を決めている。X社への納品は月内であればよいことになっているため」

 

 読み取りの難しさの理由は、時間軸を相対的に記述しているからかもしれません。「翌月」と「前月」は言葉として出てきますが、当月がありません。「翌月」と「前月」という言葉は相対的な言葉です。ある月に対しての前月であり翌月です。

 「納品は月内であればよい」とありますが、正確に記述するならば「納品は当月内(=受注月の翌月内)であればよい」、ということでしょう。

 おそらく、この書き方はわざとわかりづらくしているのだと思います。

 

 では、このようなわかりづらい文章にどのように対応するかです。

 

・基準点が曖昧なので、基準点を具体的に設定する。たとえば、「当月」を8月と仮定する。

 すると、「X社からの確定受注数量は、X社顧客からの翌月1カ月の受注予想数量であり、C社へは毎月前月の中旬にFAXで送られてくる」を読み替えると、「X社からの確定受注数量は、X社顧客からの9月1ヵ月分の受注予想数量であり、C社へは7月中旬にFAXで送られてくる」となり、7月中旬にFAXで注文が来るんだな、とわかる。

 そして納品日は、「X社への納品は月内であればよいことになっているため」とあるので、8月末までに納品すればいいということです。7月中旬の受注で8月末の納品なので、リードタイムは1.5カ月です。ちなみに、「C社の納品リードタイムは1.5カ月」と確認できます。

 

・簡単に図示すると、さらにわかりやすくなります。

          7月                  8月         9月

 +------------+-------------+---------------+----

     受注           納品

 (X社顧客の9月分)

 

 このように相対的な記述で読み手を煙に巻くような文章のときは、具体的な数字をあてはめて、さらに図示しましょう。頭の中で考えるより、早く飲み込めるでしょう。

 

  それでも時間がきたら、理解が途中であっても回答を書き始めないと、全滅する可能性があるので、タイムキープは優先したほうがいいと思います。(とはいえ、全然理解できてないのに回答を書くのも無謀なので、塩梅ですけどね。)

応援よろしくお願いします。

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