刃物で刺された李在明氏、「ソウル大病院にワガママ言って緊急搬送」で猛批判
釜山の大病院に搬送されながら…ヘリでソウルへ移送は大物政治家ゆえの特権か
1月2日、刃物で襲撃され倒れ込む李在明・共に民主党代表(写真:AP/アフロ)
1月2日、韓国国会の第1党の「共に民主党」の党首・李在明(イ・ジェミョン)代表が刃物で襲撃されるという衝撃的な事件が起きた。
新年の挨拶のために釜山を訪問した李在明代表が加徳島新空港敷地を視察する現場で、10時27分頃、支持者を装って接近した不審者が李代表の首に刃物を向けた。その後、李代表が後ろ向きに倒れる姿がカメラを通じてリアルタイムで捉えられた。
犯人は現場で逮捕され、李代表は釜山大学病院で応急処置後、ヘリコプターでソウル大学病院に移送されて緊急手術を受けた。釜山警察庁は速やかに69人規模の特別捜査本部を立ち上げ、今回の事件に対する徹底した捜査を約束した。
殺意の原因は何か
韓国警察が発表した情報によると、犯人が凶器として使った17センチの刃物は、インターネットで購入した登山用ナイフで、犯行を容易にするよう改造されたものだという。
犯人は1957年生まれの男性の金某で、公務員として働いた後、10年ほど前に退職。現在は忠清南道牙山で不動産仲介業をしている。近況については、生活苦で7カ月分の事務室賃貸料が滞ったという報道も出ている。
被疑者は警察に「殺そうとした」と自白したというが、警察はその理由については発表していない。
被疑者は2015年から2020年まで「国民の力」の前身である「セヌリ党」など保守政党の党員だったが、23年4月から現在までは革新系の「共に民主党」の党員になっていると発表されている。被疑者は警察に、李代表の動線を把握するために民主党に加入したと陳述したと報じられている。
これと関連してメディアでは、被疑者が「最近、太極旗集会(保守系の集会)に参加した」「保守性向だったが、数年前から民主党支持者に転じた」「酒を飲めば尹錫悦大統領の悪口を言ってよくケンカをした」などの隣人や親戚の証言が出ている。
保守的な政治思想を持ちながら、正反対の「共に民主党」党員となったのは、なにか狙いがあったのだろうか。疑問と犯行の背景まだ解明されていない。
当初は「出血量は少なく軽傷」と発表
一方、被害者となった李在明代表はすぐさま病院に運び込まれた。まず2日午前11時13分ごろ、釜山大学病院の圏域外傷センターに搬送。圏域外傷センターとは、重症外傷患者の応急蘇生から手術まで担当する「最終医療機関」だ。
釜山大学病院移送後、釜山警察庁と消防当局から「現場で止血し、(李代表は)意識があり、出血量は少ない状態」「首の部位に1.5cmの裂傷があり、軽傷と推定される」との発表があった。
釜山大学病院は傷口の消毒と破傷風注射などの応急処置後、CT撮影を行い、手術を勧めたが、民主党と李代表側がソウル大学病院で手術を受けたいと移送を望んだという。
これに対し、釜山大学病院の関係者は、「意識もはっきりしていて、それほど緊急な状況ではなかった。手術は家族の同意が必要だから(ソウル大病院に転院させた)」「民主党がヘリでの移送を要請した」と明かした。民主党の鄭清来(チョン・チョンレ)最高議員は、「首は敏感な部分であり、(手術が)うまい病院で行わなければならない」と述べた。
「軽傷」から一転、ヘリでソウル大学病院に
12時59分頃、李代表は釜山大学病院から釜山消防ヘリコプターに乗ってソウル大学病院に移送された。あいにく、ソウル大学のヘリ着陸場が工事中だったため、漢江のノドゥル島のヘリポートに到着し、再びソウル大学病院のソウル重症患者公共移送センター(SMICU)救急車でソウル大学病院に運ばれた。
1月2日、釜山からヘリコプターでソウルに到着、ソウル大学病院に搬送される李在明・共に民主党代表(写真:AP/アフロ)
ソウル市は、救急車が李代表を迅速に移送できるよう、交通統制まで施した。
3時20分ごろ、ソウル大学病院に到着した李代表は、手続きなしに救急医療センターに移動し、2時間の血栓除去を含む血管再建術を受け、集中治療室(ICU)に運ばれた。ICUで24時間治療を受けた李代表は、3日午後5時ごろ、一般病室に移った。
李在明代表の手術後の状態に対するブリーフィングは共に民主党が担当した。ブリーフィングに乗り出した民主党のカン・チョンヒ元大韓医師協会常勤副会長は、「内頸静脈の周囲の60%が損傷した深刻な負傷」とし、「(当初流れた)1cm裂傷という報道はフェイクニュース」と反論した。
また、「初期に非常に重篤な状態だったし、天が命を救った」とし、「現在は絶対安定が必要であり、主要臓器に対する後遺症が懸念されるため、予後観察が必要だ」と付け加えた。退院時期については「医療スタッフの意見を尊重して決める」と述べた。
韓国の有力政治家の襲撃事件は、全世界に向けて発信されたが、そこでは過去に朴槿恵元大統領が選挙運動中にカッターナイフで襲撃された事件(06年)、リパート駐韓米国大使が行事会場で従北主義者からカッターナイフで襲撃された事件(2015年)、宋永吉元民主党代表が在韓米軍撤退を主張する左派YouTuberにハンマーで襲撃された事件(2022年)などが一緒に紹介された。これほど頻繁に政治家が襲撃される先進国は難しい。外国の報道機関は、韓国政治が理念的に両極化し分裂し、社会を混乱に追い込んでいると分析している。
ヘリの使用要件に該当しないのに
一方、この事件は韓国でもう一つ、“論争の種”を提供した。
事件直後、医療界を中心に韓国救急医療システムと地方医療の問題点が提起されたのだ。どういうことか。
李代表は襲撃後、韓国最高の圏域外傷センターがある釜山大学病院に移送されたのだが、家族が李代表をソウル大学病院に移すことを要求したという。そこで釜山大学病院は、釜山に2台しかない消防ヘリを動員して李代表をソウル大学病院に移送する措置を取った。
消防ヘリは国民の税金で運営され、一回飛ばすたびに約2000万ウォン(日本円でおよそ220万円)かかるという。
さらに、消防ヘリを使用できる応急状況については詳細なマニュアルがあるのだが、李代表の状態はそのどこにも該当しなかった。そして一分一秒を争う緊急患者ならば、釜山からソウルまでおよそ400kmの距離をおよそ2時間もかけて運ぶという選択はどうも理解できない。もし、緊急な状況でなければヘリは飛ばしてはいけないだろう。
ヘリ使用・ソウル大学病院入院は大物政治家ゆえの「特恵」なのか
これに対して医師コミュニティとSNS上では「明白な特恵だ」という批判が殺到しているのだ。
「緊急な状況なら釜山大学病院で手術を受けるべきであり、緊急でない状況ならヘリに乗る理由はない」
「一般人がソウル大学病院に行きたいと言っても119はヘリに乗せてくれるのか」
「緊急でもない状況でヘリとソウル重症患者公共移送センター(SMICU)救急車に乗ってソウル大学病院集中治療室に行った。これは医療の基本である“重症度分類”を完全に無視した手続き」
「緊急状況で医療スタッフの意見を無視して患者が無条件にソウルの“ビッグ5”病院に向かう韓国医療界における問題点を示している」
「民主党と家族が望んだというが、それならソウル大学病院が患者の重症度もまともに評価できないということだ」
「これまで問題が生じるたびに医師のせいにしてきた保健福祉部は、今回のヘリ乱用の経緯を調査して、立場を明らかにせよ」
などの非難が殺到している。
インターネットでは李代表のヘリ利用を嘲笑する「皇帝ヘリ」というミームが出回っている。これらの批判に対し、民主党の姜善宇(カン・ソンウ)スポークスマンは、「殺意を持った被疑者によって命を失うところだった。本人や家族のことを考えたら、そんなことが言えるだろうか」と批判している。
本当に内頸静脈の60%を損傷なら…
李在明代表の状態をソウル大学病院ではなく民主党がブリーフィングしたことに対しても批判が出ている。当初、ソウル大学病院側がブリーフィングを行う予定だったが、突然「患者の個人情報が含まれているので法的に問題がある」とし、病院側がブリーフィングを取り消すと、代わりに民主党が乗り出してきた。
過去の朴槿恵大統領襲撃事件とリパート駐米大使の襲撃事件は、いずれも治療医のブリーフィングがあっただけに、今回のソウル大学病院の曖昧な態度に対しては疑問を抱く向きが多い。心血管の名医でもある、ある大学病院の医師はメディアの取材に対して「内頸静脈の60%が損傷したなら、手で押さえて血を止めるのは容易ではない。ときどき映画で首を銃で撃たれて血がどくどくと流れるシーンを見るが、内頸静脈60%損傷ならそのように血は流れていたはずだ。もしもそのような状態の患者を血管を押さえたままヘリに乗ってソウルへ移送したというなら、決定を下した人は殺人未遂と言わざるをえない」と指摘した。
つまり、「内頸静脈の60%を損傷」というのは、かなり大げさな発表である可能性があるということだ。
医療従事者の間でこうした議論が噴出すると、4日午後になって、ソウル大学病院の執刀医がブリーフィングをした。
「李代表の傷は内頸静脈の60%が損傷を受け、高難度の手術が必要だった。血管縫合手術の経験が多い専門医が必要な手術であるためわがソウル大病院は、釜山大学病院外傷センターの移送要請を受け入れた。内頸静脈を9mmほど縫合し、血管再建術を行った。血管再建術は合併症の恐れがあるため、集中治療室で治療した後、一般病室に移動した。現在は幸い順調に回復している段階だ」
しかし、このブリーフィングでも批判の声をかき消すことはできなかった。なにしろ保健福祉部から数年間も連続で「等級A」と評価を受けてきた釜山大学病院の圏域別外傷センターに経験豊富な血管専門医がいないはずはない。しかも李代表が消防ヘリを利用するほどの緊急状況だったのかに対する疑問も解消されていない。それなのに、執刀医は記者の質問を受けずに退場してしまった。
こうなると、李代表が最初に搬送された釜山大学病院も黙ってはいられなかった。「移送要請をしたのは民主党」 「わが病院にも経験豊富な血管専門医を多数保有している」「当院からヘリに乗って他の病院に行った人は、李代表が最初」などとの声明を公にした。さらに医療専門のメディア『MEDI:GATE NEWS』は、「李代表の突然の手術のため、一部の救急手術が滞り、教授らから不満が出た」というソウル大学関係者の証言を紹介している。
刃物で殺されかけた李代表だったが、ソウル大学病院への移送を要請したことで、方々から猛批判を浴びる事態となってしまったのだ。
皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
さて、新年一発目は・・・
>釜山大学病院移送後、釜山警察庁と消防当局から「現場で止血し、(李代表は)意識があり、出血量は少ない状態」「首の部位に1.5cmの裂傷があり、軽傷と推定される」との発表があった。
イ・ジェミョンくんが暴漢に襲われたようだね。
次期大統領候補筆頭の上にノムタン、トラオを超える逸材ですから、大変心配しておりました・・・
当初の発表では大したことがなくて一安心という状況だったのですが!
>李在明代表の手術後の状態に対するブリーフィングは共に民主党が担当した。ブリーフィングに乗り出した民主党のカン・チョンヒ元大韓医師協会常勤副会長は、「内頸静脈の周囲の60%が損傷した深刻な負傷」とし、「(当初流れた)1cm裂傷という報道はフェイクニュース」と反論した。
わざわざ、ソウル大病院にヘリで移送し、手術後、なぜか医療団ではなく民主党が記者会見し・・・
ヽ<`Д´>ノ 「内頸静脈60%損傷の重症だったニダ!助かったのは神のおかげニダ!!」
と発表したのです。
えっと、内頸静脈!?動脈じゃなくて??
だったら簡単な止血でOKだし、深刻な状態だとは思えないよなぁ~w
大袈裟ですなwww
>「緊急な状況なら釜山大学病院で手術を受けるべきであり、緊急でない状況ならヘリに乗る理由はない」
当然、このような優遇措置に世論の批判が集中www
ジェミョンくんのヘリ利用を嘲笑する「皇帝ヘリ」なる言葉も流行り始めているらしい~。
まあ、無事に手術も終わったようだし、必ず復帰して大統領を目指して欲しいものだぞ。
ガンバレ!ジェミョンくん!