韓国司法「ベトナム民間人虐殺」賠償責任初めて認める…「韓国軍が銃殺」
事件発生から55年「原告勝訴」判決
2018年4月22日にソウルで開かれた市民平和法廷で、フォンニィ・フォンニャットの虐殺の被害者グエン・ティ・タンさん(前列左)とハミの虐殺の生存者グエン・ティ・タンさん(前列右)が原告として参加している=パク・チョンシク記者//ハンギョレ新聞社
ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺の被害者が、韓国政府を相手取って起こした国家賠償訴訟の一審で勝訴した。事件発生から55年にして初めて「加害国韓国」に対し、被害を受けたベトナム人に法的責任を取るよう命ずる判断が出たのだ。
ソウル中央地裁民事68単独のパク・チンス部長判事は7日、ベトナム人のグエン・ティ・タンさん(63)が韓国政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告勝訴の判決を下した。判決は「被告大韓民国は原告に3000万100ウォン(約312万円)と、これに対する遅延損害金を支給せよ」というもの。裁判所は、被害の程度と賠償が遅れた事情などを考慮して慰謝料を4000万ウォン(約416万円)と定めたが、原告の請求金額が3000万100ウォンであったため、その金額の範囲で賠償責任を認めた。
裁判所はベトナム戦争参戦軍人、当時の民兵らの証言、グエンさん側が提出した証拠などをもとに原告側の主張をほぼ事実と認めた。裁判所は「大韓民国海兵第2旅団第1中隊(青龍部隊)所属の軍人たちが、1号作戦を遂行中に原告の家族に銃撃を加えた事実、原告の母親を他の人々と共に1カ所に強制的に集め、銃で射殺した事実が認められる」とし「このような行為は明白な違法行為に当たり、原告には賠償請求権が認められる。被告大韓民国の消滅時効抗弁は権利の乱用に当たる」と判決理由を説明した。
グエン・ティ・タンさんは8歳だった1968年2月、ベトナムのクアンナム省ディエンバン市ディエンアン区フォンニィ・フォンニャット村の自宅周辺で、韓国軍青龍部隊所属の兵士たちに左脇腹を撃たれて重傷を負い、手術で一命はとりとめたものの、今に至るまで後遺症に苦しんでいる。事件で家族5人が命を奪われ、14歳の兄は大けがをした。グエン・ティ・タンさんは「韓国政府が民間人虐殺を認めることのみが、被害者の苦しみを和らげることができる。私をはじめとする多くの被害者の名誉が回復されることを願う」として、2020年4月に韓国政府を相手取って訴訟を起こした。
ベトナムにとどまっているグエンさんは判決直後、弁護団から電話で連絡を受け、「私が話したことを全て真実だと認めてくれた裁判所に感謝する。そして今まで私と共に闘ってくれた弁護団と韓国の仲間たち、市民のみなさまに感謝の言葉を申し上げたい。本当に嬉しい」と話した。
弁護団のイム・ジェソン弁護士は「本日の判決は、韓国の司法府がベトナム戦争当時にこのような不法行為があり、大韓民国政府は法的責任を取らなければならないということを初めて確認したという点に、大きな意味がある」と語った。
ベトナム民間人虐殺「ハンギョレ21」初報道から23年後に認められた韓国の賠償責任
2000年6月27日午後、ソウル孔徳洞のハンギョレ社屋前で枯葉剤後遺症戦友会のメンバーたちが社屋から持ち出した事務用紙などを燃やしている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
韓国軍によるベトナム戦争民間人虐殺事件は、1999年「ハンギョレ21」の報道で初めて知られた。報道の衝撃による反発は激しかった。2000年6月27日、枯葉剤後遺症戦友会のメンバー2000人余りがハンギョレ新聞社前の道路を占拠して放火を試みる一方、社屋に乱入して什器を壊し、社員たちを殴る事件が起きたのだ。
「ハンギョレ21」のコ・ギョンテ記者は翌年の2000年11月、30年ぶりに機密解除された米国国立文書保管所のベトナム戦争韓国軍虐殺関連文書と写真を入手し、世界で初めてフォン二ィ・フォンニャット村の惨劇を知らせた。コ記者はそれから10年あまりたった2013年1月と2014年2月にベトナムの村を再び取材し、翌年の2015年2月にその結果である著書『1968年2月12日』を出版した。
フォンニィ村に住んでいたグエン・ティ・タンさん(63)は、2015年に平和博物館の招待を受け、ベトナム戦争当時、韓国軍駐留地域の民間人虐殺生存者の中で初めて韓国を訪れた。2018年4月には民主社会のための弁護士会(民弁)と韓・ベトナム平和財団が開催した「ベトナム戦争民間人虐殺真相究明のための市民平和法廷」で、訴訟の原告として法廷にも立った。この法廷の裁判長を務めたキム・ヨンラン元最高裁判事は「大韓民国は賠償金を支払い、原告の尊厳と名誉が回復できるよう公式謝罪せよ」と判決を下した。
その後、民弁「ベトナム戦争民間人虐殺真相究明のためのタスクフォース(TF)」はグエン・ティ・タンさんを代理して2020年4月21日、ソウル中央地裁に大韓民国政府に対して3000万100ウォン(約310万円)の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こした。当時の記者会見で、グエン・ティ・タンさんはテレビ電話を通じて「韓国政府が民間人虐殺を認めない限り、被害者の苦痛を癒すことはできない。私をはじめとする多くの被害者の名誉が回復することを望んでいる」と語った。
>ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺の被害者が、韓国政府を相手取って起こした国家賠償訴訟の一審で勝訴した。
これは注目すべき訴訟ですね。
ベトナム戦争時、韓国軍がベトナム人を虐殺した事件。
韓国政府は「韓国軍による民間人虐殺関連内容は確認できず、韓国側の単独調査でなくベトナム当局との共同調査が先行しなければならないが、韓国とベトナムの政府間共同調査条件がまだできていない状況」と言い張り、虐殺を認めていません。
しかし、この問題を訴え続けてきた民主社会のための弁護士会(民弁)は、政府への情報公開を求めて、一昨年3月に最高裁で「情報公開せよ」という判決が出ました。
詳しくはコチラ↓
ところが、韓国政府が公開した資料はわずか15文字の紙一枚。
当時尋問した3人の氏名のみ。
こんな対応だったので、今回の裁判も原告敗訴だろうと思ってました。
>裁判所はベトナム戦争参戦軍人、当時の民兵らの証言、グエンさん側が提出した証拠などをもとに原告側の主張をほぼ事実と認めた。
ところが!
地裁は原告側の提出証拠を事実と認定したようだね。
おそらく、韓国政府は控訴するだろうから、この裁判はまだまだ続くだろうけど・・・
今後も注目だな。