金正恩から贈られた犬「政府が飼育費出さぬなら飼わない」と言い出した文在寅
在任中は「愛犬家」アピール、退任したら愛犬を政府に突き返す態度に国民啞然
2018年9月18日、金正恩氏との首脳会談のため青瓦台を出る文在寅大統領と愛犬を連れる金正淑夫人。この時の南北首脳会談で、金正恩氏から豊山犬のつがいを寄贈するとの申し出があった
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が、在任中に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長からプレゼントされた貴重な犬を国に返却する意向を伝えた。
文前大統領が「家族同様」に接していた愛犬をあっさり「離縁」すると決定した背景には、新・旧権力間の感情争いがある。政治理念によって分断され、事あるごとに対立する韓国社会の一側面を示す事例ともいえる。
ただ、多くの韓国人はこの出来事を「文前大統領が金銭的な問題で家族同然の犬を捨てた」と受け止めている。
「愛犬家」エピソードが盛りだくさんの文在寅前大統領
文在寅前大統領は自ら「愛犬家、愛猫家」を自負しており、動物に関して数多くのエピソードを残してきた。有名なのは次のエピソードだろう。
2017年3月、朴槿恵大統領の弾劾訴追を審議していた憲法裁判所が大統領罷免を決定すると、朴槿恵大統領は即日、青瓦台から追い出されることになった。この時、朴槿恵氏は大統領当選者となったときに国民からプレゼントされ飼っていた9匹の犬を連れて行かず、青瓦台に残していった。この前大統領の行動に対して動物団体をはじめとする市民団体から一斉に非難が噴出、一部の市民団体は朴槿恵氏を動物遺棄罪で告発した。
この事態に、大統領選挙に出馬した文在寅候補はテレビに出演した際にこう語った。
「犬たちがかわいそうだ。私が出馬さえしなかったら、引き取って育てたい気持ちだ」
当時、文在寅候補は「人と動物との共生」というスローガンを掲げて動物福祉を公約に盛り込み、自身が「愛犬家」であることと機会があるたびにアピールしていた。そして文在寅候補の動物福祉公約は多くの愛犬家の心を掴み、動物関係団体が次々と「文在寅候補支持宣言」をすることに寄与した。
晴れて大統領に当選し、青瓦台入りする際には、動物団体から寄贈された捨て犬の「トリ」を帯同し、「毎年30万匹の動物が捨てられている。これからは遺棄動物も社会全体が世話をしなければならない」と、愛犬家らしい発言をしてみせた。このトリは文在寅大統領のイメージアップに一役も二役も買ったと言える。文在寅大統領府は、「トリは世界初の捨て犬出身のファーストドッグ」と大々的に広報したのだ。
文在寅氏が引き取った捨て犬の「トリ」
金正恩氏から贈られた犬は「南北和解の象徴」
そんな犬好きの文大統領に、2018年9月に平壌で開かれた第3次南北首脳会談の際に、北朝鮮の金正恩委員長は2匹の「豊山(プンサン)犬」をプレゼントした。豊山犬は北朝鮮の特別天然記念物に指定されている希少な犬種だ。
コミとソンガンイという名前のこの犬たちは文大統領夫妻の家族となって、4年間、青瓦台で一緒に過ごした。当時、文在寅大統領府は公式SNSに犬たちと文大統領の写真を載せ、「コミは愛嬌があって、パパが大好き。ソンガンイはちょっぴりおとなしいそうです。青瓦台の家族になった二人、おめでとう! 一緒に元気よく暮らしましょう」という歓迎のコメントを書いた。
文大統領はよく、海外メディアとのインタビューでコミとソンガンイを「南北和解の象徴」と自慢したり、犬たちの写真を自分のSNSにアップしたりして、犬たちに対する愛情を表した。コミとソンガンイは青瓦台で13匹の子犬を産んだが、このうち12匹は共同団体や動物園などに養子縁組され、文大統領の退任時にはコミとソンガンイ夫婦、そして息子のダウニだけが残っていた。
「退任後はコミとソンガンイを連れていきたい」
2022年3月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)「国民の力」候補が大統領選に勝利した後に、初めて青瓦台に招待された日、文大統領はコミとソンガンイの居場所について話を切り出した。
文在寅 「コミとソンガンイは韓国大統領の資格でもらった贈り物なので、法的には国家所有だ。法律上、私が連れて行くことはできないと思うが」
尹錫悦 「犬は普通の贈り物とは違います。コミとソンガンイを譲ってくださるのなら喜んで育てますが、彼らの気持ちを考えると、慣れた飼い主が育てるのが一番いい。文大統領が連れて行かれたらどうでしょう?」
文 「私もそうしたい」
尹錫悦氏も7匹の捨て犬と捨て猫を飼っている有名な動物好きで、コミとソンガンイを単なるプレゼントではなく、文在寅氏の「家族」と見なしたのだ。ただ韓国の関連法によると、大統領が受け取った贈り物はすべて大統領記録物に指定され、国家所有となり、原則として国家が管理することになっているが、動・植物は例外として機関や団体が委託・管理することができる。この規定が障害となっていた。
そこで、尹大統領と文前大統領はこの例外条項に対する詳しい内容を施行令として公表することに合意した。こうして5月になり大統領を退任した文在寅氏は、他のペットたちと一緒にコミとソンガンイ、そしてダウニを連れて新たな私邸のある梁山(ヤンサン)に降りていった。
6月、行政安全部(行安部)は予定通り「大統領記録物法」施行令改正案を立法予告した。この改正案は「行安部所属の大統領記録官が大統領の贈り物の中で動植物を機関または個人に委託し、管理に必要な物品・費用を支援できるようにする」というのが骨子だ。
犬の飼育費、誰が負担するかで大モメ
実はこれに関連して、文氏の大統領退任の直前、一枚の協約書が作成されていた。文大統領側の秘書官と、文氏が任命した大統領記録館長との間で取り交わされた協約書だ。そこには、「豊山犬を管理するための経費は予算から支援できる」という内容で、管理の委託費用としては「飼料代」「医療費」「管理雇用費」などの費目が立てられていた。
協約書の内容に従って行政安全部は予算を組んだ。「毎月の飼料代35万ウォン、医療費15万ウォン、管理雇用費200万ウォンで計250万ウォン(約26万円)」という金額だった。この金額は、国家所有のコミとソンガンイの他、ダウニの分も含まれていた。協約書で、ダウニにかかる経費も支給対象に含まれていた。
ところが、この予算と協約書について、尹錫悦大統領室は「費用が多すぎる」と反対し、閣議に上程するまで時間がかかった。すると文在寅大統領側は激怒、コミとソンガンイを返却するという意向を通知してきたのだ。
『朝鮮日報』がこの事実をスクープすると、多くの関連報道が続き、韓国中が大騒ぎになった。そこで文在寅前大統領側は報道資料を公表し、尹錫悦大統領を猛非難したのだった。
「これまでの経過を見ると、大統領記録館と行政安全部の立場とは異なり、尹大統領府では豊山犬の管理を文元大統領に委託することに対して否定的なようだ。ならクールに処理すればいいだろう。大統領記録物の管理委託は双方の善意に基づくものであるため、尹政権側がこれを嫌ったり、より良い管理策を講じたりするのであれば、いつでも委託をやめれば済む話だ」
「このような些細な問題に対してまで明らかに表れてくる現政権側の悪意に呆れる」
退任直前に大統領経験者の待遇を引き上げていた文在寅氏
文前大統領の側近たちも、こぞって「尹大統領が約束を守らなかった」と非難しはじめている。
これに対して尹大統領側は、施行令改正手続きを協議中なのに、立案過程を待たずに文在寅氏側が急いで「離縁」を通告してきたと反論している。ただ国民世論は、管理費を口実に「家族同様」の愛犬を大統領祈念館に突き返すという文氏側に対して、より批判的になっている。
文前大統領は現在、韓国で唯一国民の税金で生活費支援を受けている元大統領だ。実は文大統領は任期最終日に、自分の最後の権力を使って前職大統領に対する礼遇を大幅に改善(?)し、国家からの支給額をなんと50%も引き上げていたのだ。
これによって、毎月1400万ウォンの年金を非課税で受けられるよう改正したことを筆頭に、毎年4億ウォンの前職大統領礼遇補助金、1億4000万ウォンの秘書室活動費、1億2000万ウォンの車両支援費、7600万ウォンの海外旅行費、1億2000万ウォンの医療費、8700万ウォンの介護者支援費などが支給されることとなった。月額に換算すればざっと5000万ウォンを国民の税金から受け取ることになる。
さらに文氏には秘書官3人、運転手1人が付いているのだが、彼らの月給も国民の税金で支払われる。まだある。梁山私邸の警護員数も他の元大統領(27人)の2倍以上となる65人になったのだが、彼らの月給もすべて国民の税金で負担されている。李明博、朴槿恵元大統領は大統領在任中の事件に対する有罪判決で前職大統領待遇が剥奪され、現在前職大統領礼遇を受けている人物は文在寅前大統領ただ一人だ。
「犬3匹の面倒すらみられない度量」
金銭問題を横に置くとしても、いくら尹錫悦大統領が憎くて嫌いだからといって、4年間も家族同然に過ごしてきたコミとソンガンイを一切の迷いなく突き返すという文大統領の行動は、1000万人にのぼる愛犬家を擁する韓国人の感情的に、なかなか受け入れることができないだろう。なにより、飼い主に捨てられた格好になってしまったコミたちの家族に対する思いを慮る声が溢れている。
豊山犬は、飼い主に対する忠誠心が強く、子犬の時に出会った飼い主を永遠に忘れないという。コミたちはこれからどのような思いで暮らしていくのだろうか。
「犬3匹の面倒さえみられない度量で、どうやって韓国を5年間統治してきたのか!」
11月8日、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長のこのSNSでの発言に数えきれないほどの「いいね」が付いた。これこそが、この事態を唖然としながら見つめている韓国人の本音だろう。
これはかなり面白いネタですなwww
大統領就任後、犬好きをアピールしてきたトラオくん。
北の将軍様から頂いた貴重な豊山犬をスズエツくんとの約束により、退任後も飼えるようになったのです!
ここまではほのぼのとしたお話だったのに・・・
>協約書の内容に従って行政安全部は予算を組んだ。「毎月の飼料代35万ウォン、医療費15万ウォン、管理雇用費200万ウォンで計250万ウォン(約26万円)」という金額だった。
退任前に、犬の世話代として毎月26万円受け取ることを勝手に決めてしまったのです!
>この予算と協約書について、尹錫悦大統領室は「費用が多すぎる」と反対し、閣議に上程するまで時間がかかった。すると文在寅大統領側は激怒、コミとソンガンイを返却するという意向を通知してきたのだ。
スズエツ政権からしたら、いくらなんでも高すぎるだろうという声があがる。
確かに犬三頭の世話に月26万円は払い過ぎと思うよな。
しかし、せっかちなトラオくんが、
<`田´;>: グギギギギ 「だったらウリは犬を飼わないニダ!国に返してやるニダ!!」
と激怒し、返却を申し出たようなんです!
犬ちゃんたちが可哀想すぎる・・・
>月額に換算すればざっと5000万ウォンを国民の税金から受け取ることになる。
ちなみに、トラオくんには毎月500万円が国から支給されており、その他に付き人や警備員の費用も別途支給されているらしく・・・
夫婦二人で悠々自適に暮らしているのだ!
この金額も退任直前にしれっと増額していたようだし・・・
そりゃ~国民感情からしたら怒るわな。
愛犬家を名乗るなら、そんだけの金貰ってるんだから、自分の金でどうにかしろ!という声が多いらしいwww