中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う
習近平(シー・ジンピン)国家主席は2020年11月、TPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。米国が新たな自由貿易協定(FTA)などに消極的な中、22年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続き、経済的な影響力の拡大を狙う。
加盟交渉が円滑に進むかは不透明だ。現在のTPP加盟国は11カ国で、英国も加盟を申請している。中国の参加には加盟国すべての同意が必要だ。だが、TPPには中国と通商摩擦を抱えるオーストラリアや南シナ海の領有権問題で対立するベトナムが加盟している。
中国国内の制度改革も避けては通れない。TPPは、政府が国有企業を補助金などで優遇して競争をゆがめることを禁じる。習指導部が国有企業の増強を前提としたままなら、交渉は最初からつまずきかねない。
中国は9月に施行したデータ安全法(データセキュリティー法)などでデータの統制を強化している。データの国外持ち出しの禁止などは加盟国の反発を招く可能性もある。
TPPは、データ流通の透明性や公平性を確保する3原則も盛り込む。その一つが「『ソースコード』の開示要求の禁止」だ。中国では外資系企業が許認可の取得などで、ハイテク技術の開示を地方政府などから迫られる例が後を絶たない。
TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求める。中国は安全保障を理由に「安可目録」などと呼ぶリストを作り、外資系の排除を進めてきた。自国の都合を優先する姿勢では、加盟に向けた道は険しい。
中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁
中国が16日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。同国はこれまでもTPP参加を検討する構えをみせてきたが、実際に申請したことに日本の通商関係者には驚きが広がる。協定にはデータを巡るルールなどで中国にとって高いハードルがあり、日本を含めた加盟国との交渉が難航するのは必至だ。
「TPPの水準守らないなら加盟させない」と交渉関係者
TPPは多国間の大型連携協定の1つ。モノの関税だけでなく、サービスや投資の自由化を進めるもので、データを扱う電子商取引や知的財産などの分野でもルールを定めて貿易の活性化をめざしている。
米国はトランプ前政権により離脱したものの、残る日本やカナダ、オーストラリア、シンガポールなど11カ国が2018年3月に署名。21年に入ってからは新たに加入を希望する英国との調整が本格化していた。
複数の日本の通商関係者は、中国がTPPに加盟するのはかなり難しいとの見方を示す。既存の参加国が全会一致で認める必要があるからだ。英国の加盟交渉でも、既存の参加国は今のルールを受け入れるよう迫る。「中国に対しても同じで、TPP水準を守らないなら加盟させない」と日本の交渉関係者はけん制する。
労働巡るルールでウイグル問題に飛び火も
特に障害となりそうなのがデータを巡るルールだ。TPPはデータ流通の透明性や公平性を確保する原則を定めている。これは既存の多くの自由貿易協定(FTA)が盛り込めなかったもので、専門家の間では「TPPスタンダード」と呼ばれている。例えば、ある国が外資企業に対しサーバーを自国内に設置するのを義務付けることや、ソフトウエアの設計図にあたる「ソースコード」の開示要求を禁止している。
実際、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加し、20年11月に署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では、TPP水準のデータのルールはつくれなかった。妥結を急ぎ、厳しい規制に慎重姿勢を示す中国に配慮した面もあるからだ。
中国は、企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的だ。データ安全法(データセキュリティー法)などで統制を強化する同国は「RCEPレベルが限界だ」と上智大の川瀬剛志教授は指摘する。
2つ目は強制労働の撤廃や、団体交渉権の承認など、労働に関するルールだ。ウイグル族への人権侵害が国際世論の反発を招く中で、中国はTPPの加盟交渉で難しい立場に置かれかねない。
3つ目として、国有企業への補助金や政府調達の手法など、中国国内の制度改革が必要なテーマも難しい分野だ。TPPは競争をゆがめるとして国有企業を補助金などで優遇することを禁じる。習近平(シー・ジンピン)指導部が進めてきた国有企業の増強を続けるなら、交渉はつまずく。TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求めるが、中国は安全保障を理由に外資系の排除を進めてきた経緯がある。
地域貿易の主導権拡大狙う中国、日本は本気度探る展開に
中国の加盟申請について、上智大の川瀬教授は「国際的なルール形成の場で、より存在感や発言力を強めていこうとしている」と分析する。国際的な通商などのルールづくりに積極的に参画して影響力を発揮し、自国の政治や経済、産業に有利な仕組みを広げる狙いとみられる。
貿易を巡る米中対立が背景にあるとの見方も根強い。日本は米国のTPP復帰を望むが、バイデン政権も消極的な姿勢を崩していない。そんな隙に中国が加盟申請し交渉に臨めば、米国の復帰はより困難になる可能性が高い。仮に中国が加盟し、その後に米国が加入交渉をする展開になれば、全会一致の原則から米国の加入への拒否権を中国が持つことにもなる。
中国はRCEPを足がかりにASEANとの結びつきを強めようともしている。日中韓とASEANの経済担当相は13日の会合後の共同声明に、RCEP発効時期を巡り「22年1月」を目標にすると明記した。この目標は3月に中国が訴えていたものだ。RCEPやTPPにこれまで以上に関与し、地域貿易の主導権を強めていこうという姿勢がにじむ。
TPPは域内の人口が約5.1億人 、 国内総生産(GDP)が約11.2兆ドル(約1200兆円)と、RCEPや日本と欧州の経済連携協定(EPA)などと並んで世界有数の大型協定だ。中国の加入でその規模はさらに大きくなり、加盟すればメリットも大きい。
日本は現在、TPPの議長国を務める。高度な外交・通商戦略にも映る中国の相次ぐ動きの本気度をどうはかるか。半導体などで米国と共同歩調をとる日本にとっては、難しい判断を迫られる展開といえる。
中国がTPPへの加入申請をしたようですな。
TPPの理念と共産主義への回帰を求めるキンペイくんの信念は真逆なんですけどねw
ソールコード開示禁止や国内企業への補助など、中国では100%無理だろ?
>「国際的なルール形成の場で、より存在感や発言力を強めていこうとしている」
まあ、自分を大きく見せたい中華思想にも凝り固まっている訳だから、TPPにも関わるべきアルネ!と思っているんだろうけど・・・
お得意の恫喝外交で加盟国に圧力をかけてくるのでしょうけど・・・
全加盟国合意という条件を満たすのは無理だと思うぞ!