中国債券、過去最高の債務不履行
中国政府が債務危機を懸念し対策に乗り出した。主な方策の一つは資産管理商品市場の縮小だ。規制強化はもろ刃の剣。金融機関の資金不足と、貸出金利の上昇を招く。市場では既に金利が上昇し始めた。11月に債務不履行に陥った債券は過去最高の90億元に上る。
中国城市建設控股集団は長年、投資家にとって確実な投資先となっていた。同社は中国の国有企業大手で、下水管など基盤的なインフラの建設に特化している。だが、同社への投資がそれほど安全ではなかったことが判明した。同社は11月、巨額負債の借り換えに失敗した後、3つの債券について利息を支払うことができなかった。
中国城市建設も、中国政府が金融システムに対して現在実施している“手入れ”の犠牲者だ。この政策は中国で「規制の嵐」と呼ばれており、犠牲者の数は増える一方だ。
「嵐」は過去1年近くにわたって勢いを増してきた。中でも、ここ数週の間に行われた集中的な“手入れ”では多くの企業が不意を突かれた。中国共産党の党大会が10月に開かれた後、政府は間髪入れることなく、金融システムが抱える高リスクの要因にメスを入れた。

この結果、中国における安全金利、すなわち国債の利回りが高騰している。全体で見ると2017年初めに比べて1%上昇した。
企業が借り入れに要するコストの上昇は、国債利回りの上昇以上に厳しい。この傾向は、国家と密接に結びついた企業であっても変わらない。国家開発銀行が発行する10年債の利回りは5%近くまで跳ね上がり、3年ぶりの高水準となった。同行は国内外における国家プロジェクトを対象に融資を実施する政策銀行だ。
債務はGDP比260%に拡大
金利が上昇するのは強さのしるしだともいえる。経済が何年も伸び悩んだ後、産業が回復したことでインフレが再来した。投資家たちは中国人民銀行(中央銀行)が金利を引き上げると想定している。
その一方で、利回りの急騰は不安な心理を映し出してもいる。中国で上場している最大手企業の株式で構成するCSI300指数は11月23日に3%下落した。この下げ幅は過去17カ月間で最大のものだった。
ここでの懸念(見方によっては「希望」となる。どう見るかは読者諸氏がどの視点に立つかによる)は、負債の削減を考える時、政府と企業の間に区別はないことだ。今年に入ってから中国の指導者たちは、経済政策の最優先事項は金融リスクの管理だと発言した。
中でも最大のリスクは債務で、そのGDP(国内総生産)比は過去10年で160%から約260%に増加した。銀行はその大半を簿外扱いにしている。
このため政府は2つの狙いを持って対策に取り組んできた。第1は債務の拡大ペースを抑えること、第2は現在の債務総額を明らかにすることだ。中国政府が進める方策は格付け会社から歓迎される一方で、市場の消化不良を引き起こしている。
投資家にとって最も新しく浮上した不安材料は11月17日に人民銀行が明らかにした資産管理商品(WMP)*1の徹底調査だ。これらは、預金のような形態をとる比較的高利回りの金融商品で、銀行が販売している。
新たな規制が適用されれば、銀行が投資家に対し元本を保証する行為は禁じられる。また銀行は、市場価値に応じて資産管理商品の価格を設定するとともに、自らが抱える資産と負債の期間を一致させなければならない*2。
資産管理商品市場の時価総額はピーク時には約30兆元(約508兆円)に達した。これは中国のGDPの3分の1を上回る額だ。今回の規制の草案はこの規模の縮小を図るものとなる可能性が高い。そうなれば、銀行が債券投資に自由に投じることができる現金は減少する。
地元の仲介業者、民生証券の張予 氏は、この規制が銀行に適用されるのは19年半ばになると指摘する。だが投資家の動きは速い。彼らはすでに債券の保有額を減らし始めており、これが利回りの上昇を招いている。
ほかに“手入れ”の対象となっているのはインターネット上で貸し付けを行うマイクロレンダー(小規模な貸し手)だ。これまで厳しい規制の対象になっていなかったため、しばしば法外な利息を設定してきた。
当局は11月21日、新たなオンラインレンダーに対する認可を停止すると発表した。また不動産市場についても警鐘を鳴らす。住宅を購入する人たちが違法に資金を借り入れる行為を阻止すると明言した。
銀行の反発が高まる兆し

金融政策について話し合う周小川・中国人民銀行総裁(中央)(写真=AP/アフロ)
問題は、政府が規制強化の手をどこまで広げるかだ。リスク対策は政治の重要課題であり、その手を緩めることは考えにくい。規制の抜け穴をふさぐことを使命とする強力な金融安定発展委員会を国務院に新設し、11月8日に初めての全体会議を開いた。中国人民銀行総裁として長年のキャリアを持つ周小川氏は、高まる金融の危険性についてこの2カ月間で4回の講演を行っている。
だが、金融リスクの軽減を図る政府の取り組みに対する反発が高まる兆しもある。銀行は、規制が強化されれば深刻な金融圧迫を招くだけだとして、資産管理商品の規制案にある最も厳しい取り決めに反対するロビー活動を行っているという。11月に債務不履行に陥った債券の時価総額は90億元(約1500億円)で、1カ月の金額として過去最高を記録した。
中国政府にとって環境は、規制の嵐が今後しばらく荒れ狂っても差しつかえない状況にある。この国は今も“日の光”を謳歌している。債務削減の取り組みはまだ始まったばかりで、経済成長に大きな悪影響は出ていない。だが、この数週間に市場が見せた動揺は迫りくる悪天候を暗示している。
*1=理財商品や信託商品、基金などからなる
*2=資産管理商品をめぐって金融機関が抱える問題点として、資産と負債の期間が一致していないことが指摘されている。理財商品の満期は1カ月~1年。一方、金融機関は確保した資金をインフラや土地開発などの長期プロジェクトに融通する。この不一致が償還不能のリスクを高めている
>11月に債務不履行に陥った債券の時価総額は90億元(約1500億円)で、1カ月の金額として過去最高を記録した。
さて、面白い記事を発見したのでご紹介する!
中国で先月1か月間の債務不履行額が90億元(1500億円)となり、月間として過去最高を樹立したアル!

>中国共産党の党大会が10月に開かれた後、政府は間髪入れることなく、金融システムが抱える高リスクの要因にメスを入れた。
その理由は、キンペイ政権が党大会終了とともに金融への規制を一気に強めたためらしいwww
まあ、キンペイくんの経済政策はとにかく企業を政府の管理下を置くことを目的にしており、昨年から規制強化が進められていた。
詳しくはコチラ⇒キンペイくんの経済政策の致命的過ち 2016/08/09
>中国城市建設控股集団は長年、投資家にとって確実な投資先となっていた。同社は中国の国有企業大手で、下水管など基盤的なインフラの建設に特化している。
特に国有企業は名ばかりで4社に1社はゾンビ化していると言われ、赤字を垂れ流しながらも地方役人を懐を潤すだけの存在に成り下がっている。
一昨年の上海株大暴落後、債権への投資(特に国有企業)が高まっていたのですが、今年初めに債権偽造などが相次ぎ、債券市場も暴落、上のグラフのとおりに利回りは急騰し始めました。
詳しくはコチラ⇒中国社債市場の透明性に懸念アル! 2017/01/06
そして、今年後半、とうとう債務不履行が過去最悪になったということだろうねwww
>投資家にとって最も新しく浮上した不安材料は11月17日に人民銀行が明らかにした資産管理商品(WMP)*1の徹底調査だ。これらは、預金のような形態をとる比較的高利回りの金融商品で、銀行が販売している。
特に、中国の場合、銀行は高利回り商品を盛んに販売中。その内容は簿外(シャドーバンキング)で管理されているために投資家には全く分からない状況。
まさに、金融危機時の欧米の銀行みたいなんだよね。
>理財商品の満期は1カ月~1年。一方、金融機関は確保した資金をインフラや土地開発などの長期プロジェクトに融通する。この不一致が償還不能のリスクを高めている
実際、何がリスクなのかというと・・・
高利回り商品の満期は短期であり、それで金を集めて長期プロジェクトに融資している。
そのため、プロジェクトが破たんすると一気に信用不安が広がるんだろうね。
今回の場合だと・・・
債務不履行で銀行は1500億円を受け取れなかった⇒短期の高利回り商品への利払いはすぐに訪れる⇒経営悪化⇒投資家への不安が拡大
というサイクルになるのだろう。
>資産管理商品市場の時価総額はピーク時には約30兆元(約508兆円)に達した。これは中国のGDPの3分の1を上回る額だ。
このようにして集めた金は508兆円!
>新たな規制が適用されれば、銀行が投資家に対し元本を保証する行為は禁じられる。
そこでキンペイくんは、銀行が投資家に対して元本保証することを禁止する政策を決定したようだね。
様々な規制で高利回り商品を抑え込むことでバブル崩壊をマイルドに抑え込もうということだろうけど・・・
すでに、債務不履行が過去最悪にまで進んでいる中で上手くいくアルカ?