大統領弾劾審判中に大統領権限代行弾劾カードを取り出した韓国野党
黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行が27日、崔順実(チェ・スンシル)特別検察官チームの捜査期間延長要請を拒否すると、野党が弾劾カードを取り出した。憲政史上初めてのことだ。大統領権限代行はもちろん、首相に対しても弾劾が進められたことはなかった。
共に民主党、国民の党、正義党の野党3党はこの日、3月に臨時国会を召集し、黄代行に対する弾劾を推進することで一致した。憲法第65条によると、首相に対する弾劾案は在籍議員の3分の1が発議し、在籍議員の過半が賛成すれば通過する。民主党(121議席)、国民の党(39議席)、正義党(6議席)が結集すれば過半議席を超えるため、黄代行の弾劾が可能だ。しかし一部では大統領権限代行は大統領に準ずる弾劾基準(在籍議員3分の2以上の賛成)を適用するべきだという主張もある。この場合、正しい政党(32席議席)と一部の無所属までが弾劾に参加しなければならない。
正しい政党は黄代行の決定を批判しながらも弾劾には参加しないという立場だ。鄭柄国(チョン・ビョングク)代表は「(黄代行の決定は)大多数の国民の希望を無惨に踏みにじるものでり、特検法の趣旨にも反する独裁的な決定」としながらも「法律専門家と議論をしたが、黄代行が現行の憲法や法律を実質的に違反したものはないと判断した」と伝えた。このため憲法裁判所の弾劾審判決定が3月13日前に下される場合、野党が実際に弾劾に動くかどうかは未知数という見方もある。
大統領権限代行を経済副首相兼企画財政部長官が代行することになりかねない初めての事態を控え、弾劾を推進する野党3党からは民主党と文在寅(ムン・ジェイン)元民主党代表を批判する声も出ている。昨年ろうそく集会が広がる中、収拾策として議論された「先に首相任命後に弾劾」主張を退けた主体だからだ。朴智元(パク・ジウォン)国民の党代表は「文元代表は『革命的大清掃が必要だ』と述べ、民主党の一部の議員は『弾劾さえ議決されれば黄教安首相が来ても問題はない』と話した」とし「大統領病にかかってこういうことも予測できない文元代表も必ず責任を取るべきだと考える」と強調した。
野党側の大統領候補は黄代行に向けた総攻勢に乗り出した。文在寅元代表は「大統領と首相が憲法蹂躙と国政壟断の胴体であることを表した」と述べた。安熙正(アン・ヒジョン)忠南知事は「青瓦台(チョンワデ、大統領府)が事実上、組織的に捜査を妨害する状況であるため、黄代行は特検の捜査期間延長要請を受けるべきだった」と主張した。安哲秀(アン・チョルス)前国民の党代表側も「黄代行は国政壟断の反逆者ではなく国政壟断勢力の主犯であることが明らかになった」と語った。
これに先立ち黄代行はホン・クォンヒ首相室公報室長を通じて「崔順実被告など核心の当事者と主な関係者をすでに起訴したり、起訴するかどうかを判断できるレベルまで捜査が進行し、特検法の主要目的と趣旨は達成された」と主張した。続いて「4カ月間、週末ごとに都心で大規模な賛否デモが行われていて、政界でも特検の延長などについて合意していないのが実情」と述べた。特に「憲法裁判所の決定に基づいて大統領選挙が早期に行われる可能性もあり、その場合、特検の捜査がこれに影響を及ぼしかねないという政界の憂慮も勘案しないわけにはいかなかった」と伝えた。捜査期間を30日延長する場合、憲法裁判所の弾劾決定後、特検チームが朴槿恵(パク・クネ)大統領を直接捜査する可能性があるという点も決定の背景になったはずという分析が出ている。
ある親朴派関係者は「黄代行の立場では朴大統領が特検チームの射程圏に入ることを許容するのが負担になったはず」と話した。
政界からは、黄代行が「崔順実特検チームが『何でもできる』という権力を行使している」という一部の保守層の拒否感をそのまま反映した決定を出した、という評価が出ている。与党の関係者は「特検チームが特に李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長に対して2回も逮捕状を請求して逮捕したのを見て強硬保守層の不安感が広がったが、黄代行がこのような立場を代弁した」と話した。別の与党関係者は「大統領選挙出馬について依然としてあいまいな態度を見せている黄代行が太極旗集会の民心を背負うという計算をしたのかもしれない」と分析した。